車椅子に乗った障がい者と思われる男性が、カナダ・バンクーバーの物騒なダウンタウンの片隅にたった一人でじっとしている。いつ暴漢に襲われ、財布や身分証明書を盗まれてもおかしくない状況の中、実際に彼に近づく者が数名いた。声をかけられた男性は、どれほど怖い思いをしたのかと思いきや…!?
泥酔した人、高齢者、ホームレス、身体障がい者、こうした人々を狙う犯罪をどうにか無くそうと世界各地の警察は必死になっている。カナダではこのほど、バンクーバー警察のマーク・ホースリー巡査部長が車椅子に乗った障がい者に扮してダウンタウン東部に繰り出し、隠し撮りをしながらおとり捜査を行った。だが『ナショナル・ポスト』紙が報じているところによれば、そこで得られたものは善良な市民によるハートフルな声掛けばかりであったという。
この画像は、バンクーバー警察署の公式HPで紹介されたその記事のスクリーンショットである。ケベック出身だという男性は「あなたを癒したい。祈らせて下さい」と言って近づき、ある女性は「すみません。高額の紙幣をくずしていただけませんか?」というホースリー氏の依頼を快諾。しかもお金の計算ができないという彼に、くずしたお金の額に間違いがないか何度も真剣に確かめてあげている。さらに別の男性は、お金が入っているにもかかわらず口が開いてだらんと下がっている彼のウエストポーチに気付き、「用心した方がいいですよ」と言いながらそのジッパーを閉めてくれている。
バンクーバー警察署が16日に行った記者会見で、ホースリー氏は「我々は5日間おとり捜査を行いましたが、私に暴力をふるったり、強奪行為をしようとする者は誰一人としていませんでした」と語っている。そんなおとり捜査が行われた理由は、車椅子利用者らが襲われる事件が昨年1月から今年6月までの間に28件起きていたからであった。今回の捜査で強奪犯を検挙するという本来の目的は果たせずに終わったが、親切で誇らしい市民を心から称えたいとの気持ちから警察はこの話題を紹介。動画もYouTubeで公開した。
※ 画像はmediareleases.vpd.caのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)