“国際線CA”とは誰もが一度は憧れる職業のひとつであろう。だが慢性的な睡眠不足に悩まされるなど身体的にはキツイ仕事であり、こんな危険がはらんでいることも忘れてはならない。このほど1人の客室乗務員がマラリアに感染して亡くなった。
マラリアにより命を落としたのは、ブリティッシュ・エアウェイズ(英国航空)で客室乗務員(以下CA)として働いていた女性。最近、ロンドン・ヒースロー空港からアフリカのガーナ・コトカ国際空港に向かうBA081便の約6時間半のフライトに乗務し、現地ホテルでの滞在では他のクルーと行動をともにしていたが、途中から体調不良を訴えた。
同エアラインには現在約14,000人のCAが雇われているが、世界の各種伝染病や感染症の知識を教育するほか、アフリカ線に乗務するクルーにはいつでも服用できるよう錠剤のマラリア予防薬を用意しているといい、広報担当者は「お客様および職員の安全が私達の一番の最優先課題です」と述べた。だが人々の不安を最小限に抑えるためか、そのCAが乗務したフライトの詳細については明らかにせずに「今月上旬」と発表するにとどめている。そのCAは不運にも空港を出た一瞬のすきにハマダラカ属の蚊に刺されたもようで、「感染多発地域では蚊に気を付けるよう改めて注意を喚起し、空港とホテルを結ぶ交通機関についても再検証したい」とのことである。
ガーナに飛んだクルーのマラリア感染は今回が初めてではない。6年前にも死亡例がある。マラリア原虫を持つ蚊に刺されると一定の潜伏期間をおいてから悪寒、発熱、嘔吐、筋肉痛などを急激に発症し、高熱は数時間で下がるということを数日間にわたって繰り返す。重症化すれば腎臓や肝臓がダメージを受けて意識障害に陥り、アフリカでは毎年50万人がマラリアにより死亡している。イギリス人では毎年約2,000名の海外渡航者がマラリアに感染しているという。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)