先に米サウスカロライナ州で起きた黒人教会銃撃事件を受け、各地で「南部連合旗」を撤去しようという動きがみられるが、このようなところにも飛び火してしまったもよう。ジョージア州が誇る岩山の巨大彫刻がなくなってしまう可能性が出てきたようだ。
アトランタ郊外の観光スポットとして人気の「ストーン・マウンテン・パーク(Stone Mountain Park)」。公園の目玉は“Confederate Memorial Carving”と呼ばれる花崗岩の中腹に彫られた、ジェファーソン・デイヴィス、ロバート・E・リー、ストーンウォール・ジャクソンという南北戦争を戦った南軍の英雄3名の姿である(画像は公式ウェブサイトstonemountainpark.comのスクリーンショット)。高さ27m、幅58mの巨大サイズで観光客はロープウェイからダイナミックに眺めを楽しめるようになっている。しかしジョージア州の観光産業に大きな役割を果たしてきたこの彫刻に対し、異議を唱える団体が現れたもようだ。
アトランタのメディア『WSB-TV』が伝えたところによれば、13日、人種差別の象徴ともいわれる南部連合旗を追放しようとかねてから運動や訴訟を起こしてきた「全米黒人地位向上協会(National Association for the Advancement of Colored People 通称NAACP)」がこの公園に対し、彫刻を取り壊して南部連合旗を撤去するようにと要求してきたもよう。対する公園側は「これは記念碑。破壊や撤去の是非はジョージア州の議会に議論してもらう」などと答えたという。
サウスカロライナ州で起きた黒人教会銃撃事件をきっかけに、旗そのものや関連商品が6月下旬から大手スーパーや通販サイトから姿を消すなど、全米で南部連合旗の是非について熱く語られている。黒人奴隷制度の存続をめぐって闘われた南北戦争を思い出させる「ストーン・マウンテン・パーク」もやはりターゲットとなってしまったのだ。ただし記念碑というのは過去の忌まわしい事実、過ちから目を背けず、今後の自分たちの在り方、正しい道を考えて行くためのもの。また制作者には語りつくせぬ苦労が多々あったはずだ。そのため議員からは取り壊しに反対する声があがっている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)