男というのはこだわりの強い生き物だ。たばこの銘柄、車のメーカー、コーヒーの飲み方、購読する新聞、観るニュース、好きなサッカーチーム、好きな野球チーム、果ては毎朝乗る電車の車両位置にいたるまで。彼らは良くも悪くも日常の中で大きな変化を好まない。年齢が上がれば上がるほどその傾向は顕著になる。なかでも男性にとって、「変わってはいけないもの」の代表格がビールの銘柄だ。では、もしビールがある日突然発泡酒に変わったら? 多くは「NO!」を突きつけるだろう。このたびキリンビールが、ビールを愛してやまない生粋の“ビール党”の男性たちにある挑戦を試み、その結果が話題となっている。
キリンビールのチャレンジとはズバリ、ビール党の男性に発泡酒を受け入れてもらうこと。同社が発売する発泡酒と言えば、「麒麟淡麗〈生〉」である。この「麒麟淡麗〈生〉」が今年2月に「淡麗極上〈生〉」と名前も新たにフルリニューアルをした。キリンビールは「ビールに負けないうまさ」を目指したという。
今回行われたのは、「発泡酒を全く飲まない」自他ともに認める30代から60代の頑固なビール党の男性126人に、「淡麗極上〈生〉」を飲みアンケートに答えてもらうという簡単なもの。ただし、彼らの発泡酒に対する先入観の壁は厚くて高い。「発泡酒は味が薄く、コクとキレも弱い」。はたしてキリンビールはこの発泡酒に対するイメージを打ち破ることができたのか。
まずはコクを向上させるために、二条大麦を同社従来比で40%増量。キレを出すためには、麦芽のうまみをそのまま残す「麦芽うまみ仕込」と、大麦のうまみを抽出する「大麦しっかり仕込」というふたつの製法をブレンドした「ダブル仕込製法」を取り入れた。ビールに負けないうまさを目指し、開発期間は3年におよんだ。
アンケートの結果、まず味については40.5%が「美味しい」と回答した。「やや美味しい(23.0%)」「とても美味しい(9.5%)」を合わせると頑固なビール党男性のうち7割が発泡酒である「淡麗極上〈生〉」を好意的に受け止めたことが明らかになった。
では、彼らにとって発泡酒である「淡麗極上〈生〉」はビールに負けないレベルに達しているのだろうか? これに関しては、まず「『淡麗極上〈生〉』をまた飲みたいと思うか?」の結果を参考にしたい。「とても飲みたいと思った」人が17.5%、「少し飲みたいと思った」人が42.1%、合計で59.6%が「次回も発泡酒(「淡麗極上〈生〉」)はアリ」と判断した。
さらに、今回のキリンビールの健闘が明確に表れたのが「『淡麗極上〈生〉』(発泡酒)とビール。味と価格など総合的に比較した時に、どちらを購入し飲みたいと思うか?」という質問だ。「ビールを飲みたいと思う」人が56.3%、「『淡麗極上〈生〉』(発泡酒)を飲みたいと思う」人が23.8%という結果が出た。以下はアンケート調査に参加したビール党男性たちの感想の一部だ。
「味がかなりビールに近づいた」【54歳、パート・アルバイト】
「発泡酒をみなおした」【37歳、自営業】
「45年ビールをほとんど毎日飲んでいる。今までの淡麗は味が薄かったが、今回のリニューアルはコクがありキレがあり飲み応えがある。発泡酒とビールの差が全くない」【65歳、会社員】
酒税の見直しにより、ビールの税額が下がる一方、発泡酒と第3のビールの税額は上がり、両者の価格差が縮むのではないかと巷ではささやかれている。そんな状況下で「発泡酒をまったく飲まない」ビール一筋の男性陣のおよそ4人に1人から「ビールよりも、『淡麗極上〈生〉』(発泡酒)を選ぶ」という回答を得た。発泡酒に対する既成概念を覆すという男前な挑戦を続けるキリンビールにとって、大きな自信に繋がったことは間違いなさそうだ。
(TechinsightJapan編集部 村上あい)