テロ組織「イスラム国」(IS・ISIS・ISIL・Islamic State)の脅威にさらされているヨーロッパにおいても、テロに関しては安全な国と言われてきたイタリアとバチカン市国。しかしISは彼らに対しても宣戦布告を行った。
あちこちの国を名指ししては、テロのターゲットとなるといった脅迫声明を放っているテロ組織「イスラム国」(IS・ISIS・ISIL・Islamic State)。これはISが英文で出版している『DABIQ』誌が4か月前に発表した号の表紙で、バチカン市国のサン・ピエトロ広場に黒旗を掲げたものである。そして先日、リビアでエジプト人キリスト教徒21名が殺害した後、テロリストらは「われわれはローマの南にいる。イタリアは“血塗られた十字軍”と化すことになる」とのメッセージを放ち、イタリアおよびバチカン市国がこれに怯えていることを米メディア『usatoday.com』ほかが伝えている。
現在ISの暗躍が伝えられているリビアからは、地中海をまたいですぐという位置にあるイタリア。その地中海ではかねてから難民・不法移民を多数乗せた密航船が多々到来しており、沿岸警備隊の巡視船との発砲トラブルも発生していた。同様にテロリストを送り込むとのISの脅迫に伊レンツィ首相の緊張感は一気に高まり、サン・ピエトロ大聖堂で15日に行われた日曜礼拝では、いつにない数の警備隊が出動した。もっとも軍事介入については、近年の軍事予算削減で兵力が弱まっていることから不安材料が多い国でもある。またイタリアは観光王国でバチカン市国はカトリック教会の総本山であるため、沿岸警備隊ばかりか空港においても厳重な警備態勢を迫られることは必至であろう。
ちなみに欧州の人々の間では、先のフランス紙襲撃テロ事件は行き過ぎた風刺画でイスラム教を冒涜し、彼らの逆鱗に触れたことが原因だとして、肉体労働にあたってきた移民を迫害してきた歴史、風刺画にあるような他の宗教に対する冒涜、行き過ぎた軍事介入などを反省すべきだとの意見が相次いでいる。だが「遅すぎたと言わざるを得ない」との声も多いようだ。
※ 画像はnewsmax.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)