お金は使ってこそ価値があるという人は、倹約家の人を「ケチ」と呼んで嫌うことが多い。だが懸命に貯めたことにより、その人生に大きな価値を添えて亡くなった人もいたようだ。米国では今、バーモント州で他界したある男性の話題が広まっている。
米バーモント州南西部の町、ブラトルボロに暮らしていたロナルド・リードさん。彼は「もったいない」と言ってコインパーキングを絶対に使用しない。着衣はいつもボロボロ、冬でも古びて穴の開いた野球帽をかぶるロナルドさんに温かいニット帽を編んであげた女性、彼をホームレスと勘違いして朝食代を支払ってくれる人もいた。そんな彼を「ケチにもほどがある」と陰口を叩く人が多かった中、ロナルドさんは昨年6月、弁護士のローリー・ローウェルさんに遺産分与に関する遺言状を託して死亡した。『WCAX-TV』とのインタビューでローウェル弁護士が暴露したその内容があまりにもすごい。
「ロナルドさんの遺言により銀行口座や自宅にあった有価証券の束を確認し、行員とともに驚いてしまいました。不動産と合わせて800万ドル(約9億5300万円)にもなるのです。」
ロナルドさんは第二次世界大戦では陸軍に身を置き、終戦後は兄とともに自動車修理工として働いた。その工場が他社に売却されると職を失い、しばらくしてから大手デパート『J.C.ペニー』で臨時の用務員として働くようになり、1997年からは年金生活に入った。それらのお給料は富とは無縁のものであったが、実は彼には株に投資する卓越した才覚があり、資産は着実に増えていったという。
「その遺産はロナルドさんの分割指示に従い、ブラトルボロ・メモリアル病院に480万ドル(約5億7200万円)、ブルックス図書館に120万ドル(約1億4300万円)を寄付させて頂きました。残りは義理の子供たちと友人らに分けられました。」
「ロナルドさんはとても謙虚で控えめ、かつユーモアのセンスが素晴らしい人でしたよ。だから私がまさかこんな話をメディアに暴露するとは思っていなかったでしょうね」とローウェル弁護士。彼の超節約人生はひとえに思慮深さと社会貢献の気持ちからであったこと、そしてロナルドさんの善意に深く感謝するブラトルボロ・メモリアル病院やブルックス図書館の気持ちに触れ、この話をどうしても世の中の人々に広めたかったそうだ。
※ 画像はedition.cnn.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)