イスタンブールの一地区ガジオスマンパシャにあるアパートの一室から、放置された仔猫や仔犬の死骸が発見された。室内には冷蔵庫から1匹のペルシャ猫、胴体を切り裂かれた数匹の犬、また箪笥の中からも犬の死骸が見つかっており、明らかに住人による虐待行為があったと思える異様な状況であった。だが捜査に関わった動物愛護団体のメンバーは、トルコの動物虐待防止に対する法律の不備によって、この住人はお咎め無しで済んでしまうのではないかと懸念している。
事件が発覚したのは、この家の室内を撮影した写真がフェイスブックに投稿されたことであった。写真を見た動物愛護団体のメンバーが同じアパートに住む別の住人に連絡を取ると、「(写真の投稿主である)男性が虐待に関係していると思う」と返答があったという。しかし現場は、動物の死骸が放置されたまま臭いが充満しており、庭にいくつもの墓が造られるなど常軌を逸した状況であった。これには動物愛護団体のメンバーも、「まるで何の影響もないかのように振る舞う彼らの様子が信じられない」と語る。
未だに多くの野良犬や野良猫が生息しているトルコでは、そうした動物を可愛がる人も多いが、最近では犬や猫が虐待されたという報告が急増している。だが、トルコの法律で動物は生き物ではなく“物”といった認識であるため、たとえ虐待者が動物愛護団体などから訴えられたとしても、罰金刑程度の非常に軽いもので終わってしまうのだ。今回の事件も警察による捜索は遅々として進まず、また愛護団体が告訴したものの告訴状がまだ検察庁に届けられていないことから、メンバーは憤りを見せている。
「トルコはすぐにでも法律を改正し、『動物虐待は犯罪である』と制定するべきだ」として、愛護団体関係者は法律改正を目指して運動を起こしつつあるという。
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(TechinsightJapan編集部 椎名智深)