クリス・ブラウンが当時交際中のリアーナの顔面を殴って流血させた、2009年2月の忌まわしいDV事件を「忘れた」と言う人は残念ながらいない。だがクリスは「早く忘れて欲しい」と必死。最近どうもこの件に関するぼやきが増えている。
2009年2月、痴話喧嘩の末に当時交際していたリアーナ(25)の顔面を殴って流血させるDV事件を起こし、執行猶予付きの有罪判決を受け、5年の保護観察、社会奉仕活動やアンガーマネージメント・クラスの受講を義務付けられた人気歌手のクリス・ブラウン(24)。
人気誌『JET』や『OMG』で紹介されている彼の最新インタビューの内容が興味深い。ここ4年半の間に自分がいかに深く反省し、人々の冷たい視線、非難に苦しんできたかを切々と述べていることを先にお伝えしていたが、クリスは「もう十分にみそぎを払ったつもりだし、アーティストとしてこんなに頑張っているのに、いまだに人々は俺を“DV男”と呼ぶ」とぼやく。そしてさらに、人種差別も強く感じているというのである。
「白人優位だよ、この社会は。俺も今年になってからは、自分が100%トレイヴォン・マーティンと同じ扱いを受けているような気がしているんだ。2パック、マイケル・ジャクソン、ノトーリアス・B.I.G.なんてアーティストも、生きているうちに(人種差別については)いっぱい言いたいことがあったはずだ。」
「俺たちの世代は人種差別なんてものには慣れっこさ。どうでもいいし。でもドラッグ依存でもないし、AIDSにかかったわけでもないってのに、相変わらず俺たちは不当な扱いを受けている。」
トレイヴォン・マーティンというのは、昨年2月、フロリダ州で実父宅に泊まっている中、近所のコンビニで買い物をした帰り道に自警団員の29歳の男性に「怪しい」と尾行され、射殺された17歳の黒人の少年のこと。危険を感じて撃ったのであれば正当防衛という法に守られて男性の無罪が確定し、全米規模の抗議活動を招いた事件である。
さらにクリスは大先輩のJay-Zに関し、リスペクトしていると前置きしながらも「Jay-Zは愛想がいいし、赤ちゃんにキスしたりする。そんな姿でうまいこと白人からも受け入れられているよ。彼にも人を刺したりドラッグを売っていた過去があるっていうのにね」と皮肉を込めた発言を放ち、物議を醸していた。
反省の時期はもう終わったと自覚しているようにも見えるクリス・ブラウンのこうした態度。だが忘れてはなるまい。たとえ彼が白人の人気アーティストであったとしても、とんでもないDV事件を起こせば延々と人々の冷たい視線を浴びていたに違いないのだ。今はとにかく仕事と慈善活動に情熱を燃やすのみ。そのうちに、きっと「頑張っているね」と温かい声を掛けてもらえる日が来るはずである。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)