イタすぎるセレブ達

writer : tinsight-yokote2

【イタすぎるセレブ達】ドーピングで永久追放されたランス・アームストロング。アイオワ州の大会に出場の意向。

ハリウッドセレブとも浮名を流し、前人未到の「ツール・ド・フランス7連覇」という偉業を成し遂げた最強のロードレーサーとして鳴らしたはずが、それがドーピングのお陰であったことが発覚し、すべてを失ってしまった男ランス・アームストロング(41)。彼が再び自転車の世界に戻ってくることを決意した。

ランス・アームストロングに昨年突然突き付けられた、ドーピングのクロ判定とプロ・ロードレース界からの永久追放宣告。今から考えれば、あれだけ強靭な持久力が求められるロードレースの世界で、薬物の力を借りずに1人の選手が「ツール・ド・フランス」で7年にもわたり勝ち続けたというのは「あり得ない話」だと言える。だが当時は周囲や関係者も皆が彼の薬物使用を見て見ぬふりだったというから、まさに“組織ぐるみ”だったのであろう。ランスの栄華から転落までをまずは順に追ってみたい。

25歳に発症した睾丸がんに打ち勝った後、人生のすべてを自転車に捧げ、「ツール・ド・フランス」を7連覇(1999~2005年まで)するなど最強のロードレーサーとして君臨し続けたランス。自伝やCMも好評で自転車ファンのための月刊誌も彼のお陰で好セールス。彼の設立した慈善団体「LIVESTRONG財団」は、がん研究や撲滅キャンペーンに大きく寄与してきた。そして2005年の「ツール・ド・フランス」をもって華やかなまま惜しまれて引退するが、その後に現役復帰宣言を放ち、トライアスロンに挑戦したりしていた。

ところが2012年6月、「全米アンチドーピング機関(USADA)」は各方面からの数々の証言をもとにランスをドーピング違反として告発。その事実が長年にわたり隠されていたのは、過酷なロードレースは薬物に頼って当然という考え方がアメリカでは蔓延していたこと、英雄と呼ばれるランスのドーピングをわざわざ暴露して自転車競技界の人気を落とすようなことはしたくないと組織全体で彼を守っていたからだとみられている。

本人からの不服申し立てがないことから、USADAは同8月に1998年8月1日以降にランスが獲得した全てのタイトルをはく奪し、プロ・ロードレース界からの「永久追放」を宣告。本人も今年1月、TV番組で禁止薬物のエリスロポエチンを使用していたと認めて話題になった。またランスはこの背信行為により過去のスポンサーなど各方面から訴えられてしまったが、求められている損害賠償金額は計135億円にものぼることが分かっている。

だがランスはこのほど、今月21~27日まで開催のアイオワ州を東西に406マイル縦断する『Des Moines Register’s Annual Great Bike Ride Across Iowa』に出場することを高らかに宣言した。メディアには「逆風が強いことは分かっているよ。でも僕の出場によって活気づくように思うし、走りながら人々を元気づけてみたい。あくまでもアマチュア選手としての出場だから」などと説明している。現在41歳、大分スマートになってしまったランスだが、薬物の力など借りなくともその走りはやはり一般人の比ではあるまい。当日は大きな注目を浴びることになりそうだ。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)