1980年代を代表する恐怖のストーカー映画、『危険な情事』。その中で主人公とその家族に執拗に迫る恐怖のストーカーを演じた米女優グレン・クローズ(66)が、「あの映画のせいである誤解が広まってしまった」と興味深い発言を放った。グレンの発言の背景をここでご紹介したい。
「一晩の遊び」と割り切り、ある女性と関係を持った既婚男性。一方女性はそれを「運命の出会い」と信じ、男性とその家族に対する執拗なストーキング行為に走って行く。ストーリーのただならぬ恐ろしさ、またグレン・クローズの迫真の演技に世界中の映画ファンは震え上がったものだ。
だが今になって、グレンは「あの映画でとんでもない誤解が世間に広まった」と後悔しているようだ。このたび『CBS News』のインタビューに応じた彼女は、その思いを以下のように明かしている。
「今の私なら、あの映画の脚本をまったく違うように理解したはずなのに。」
「『危険な情事』に出演することになって、色々とリサーチしたの。2人の精神科医から話を伺ったけど、(私の演じるキャラクターが)精神疾患だなんて話は全く出てこなかった。でも今の私なら、まずその可能性を疑うわ。」
映画の公開後には、何人かのセラピストが「グレンの演じたキャラクターには精神疾患がある」との見解を発表して話題になった。そのような経緯もあり、グレンはこうも語る。
「“このキャラクターを精神疾患の患者にしよう”なんて、もう軽々しくは言えないと思う。」
「でも精神疾患の人々のほとんどは、暴力的なんかじゃないの。それに暴力的な罪を犯す人のほとんどは病を患ってなどいないわ。それは間違った考え方よ。」
だが映画が大ヒットした当時、最も関心を集めたのは「不倫は怖い!」というメッセージであり、「世間の人々のモラルに強く訴えかける映画」としても高く評価されたのだ。だが精神疾患を抱える家族がいるというグレンは、「とにかく有名人ならば、精神疾患を正しく表現する責任がある」とも力説する。
グレンの優れた演技力に加え、そのモラルの高さに今改めて大きな注目が集まっている。グレンは精神疾患に対する差別をなくすべく、「Bring Change 2 Mind」という団体も立ち上げて話題となった。66歳の今も数多くの映画に出演しているグレンだが、そのパワーと行動力には驚くべきものがある。
(TechinsightJapan編集部 ケイ小原)