世界中を駆け巡った“ディスコ・クイーン=ドナ・サマー死亡”という悲しいニュース。こちらでも「乳がん」により死去とお伝えしていた。しかし彼女は肺がんも患っていたようだ。
肺がんの発症には様々な原因があると言われているが、サマーは自身がそれを発症したと知った際、世界を震撼させたあの重大なテロ事件が原因であると思い込み、強い憤りを口にしていたと芸能情報サイト『TMZ.com』が報じている。
それは2001年に起きた「9.11アメリカ同時多発テロ事件」。サマーは事件当時、テロの標的となったニューヨークのWTC(ワールドトレードセンター)ビル近くのアパートメントに暮らしており、世界中に放映されたあの激しく舞い散る粉塵、灰色の煙霧を嫌でも吸い込まざるを得なかった。
その後、彼女は自分の健康状態が徐々に悪化していることを感じ、全てはあの事件により呼吸器を通じて体に入った刺激性、あるいは発がん性の物質のせいだと主張し、苛立ちを隠さなかったという。おまけに彼女はヘビースモーカーでクラブでの夜更かしもザラ。そうした生活習慣も肺がんの発症に深い関係がありそうだ。
だがこの件を、サマーの「思い込み」と笑って片づけたくないとする人々も米国には多い。WTCビルで救助活動にあたった1万4000人近い消防・メディカルサービス隊員の肺機能低下はいまだ大きな問題であり、「モンテフィオレ・メディカルセンター&アルバート・アインシュタイン医大」呼吸器科が、彼らがこうむった粉塵被害を長期に観察し続けている。
それによれば、テロ事件から1年経っても肺機能が正常値に回復しなかった隊員は消防で13%、メディカルサービス隊員で22%。7年後の再検査でもその肺機能が回復を見せていないという深刻なデータを、有名な医学雑誌『The New England Journal of Medicine』にて紹介している。
隊員ばかりか、その粉塵や煙霧を同様に吸い込んだ一般人の肺機能低下も心配されており、その後の人生をきれいな空気の中で過ごす必要があると感じ、田舎暮らしに転じたという人の話も多々聞く。サマーの肺がん発症にあの事件が関与したとは決めつけられないが、せめてタバコだけでもやめるべきだったという気がしないでもない。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)