撮影が完了して映像が編集され、そこに効果音や音楽が重ねられ、やがて完成する映画作品。劇場公開が近づくと製作者や監督、役者らは世界各地へ飛び、そのプロモーションに懸命になる。だが、これを嫌う役者は案外多いのではないかという気がして来た。
俳優アントニオ・バンデラス(51)とサルマ・ハエック(45)は、自分たちが声優を務めたドリームワークス・アニメーションによる最新3Dアニメ作品、『長ぐつをはいたネコ(原題:Puss in Boots)』が昨年10月より順次公開となり、プロモーションでそれは多忙な日々を過ごして来た。
世界のたくさんの都市がこの作品の上映を予定しており、日本でも今年の3月の公開が予定されている。2人を招いての海外でのプロモーションは、これからもボチボチ続くのかも知れない。だが、「それが自分たちの神経をヘトヘトに擦り減らせた」と語ったのはバンデラス。「サルマに対し口もききたくない、顔を見るのもイヤというほどの嫌悪感すら芽生えた」と、このほど芸能情報サイト『WENN』に告白した。
「僕たちはプロモーションのため、たった11日間で3つの大陸にまたがった9か国に行き、試写会を9回行ったんだ。楽しかったけれど、もうシンドイのなんの…。だってね、合計739もの質問に答えたんだよ!」
「記者会見の連続っていうのは、かなりこちらをヘンな気分にさせるものなんだ。基本的に質問はどこへ出かけても全く似たようなもので、こちらも繰り返し同じことを答えるだけさ。サルマとペアで臨むんだけれど、本当に気がヘンになって来たよ。」
「インタビューがサルマに向かって、“あなたのお嬢さんはこの映画を観ましたか?”と訊ねる。するとサルマが、“ええ、もちろんシアターに連れて行ったわ。すると娘が突然叫ぶのよ。ねぇマミー、あの猫の声マミーにそっくりってね”と答えるんだ。これを何回も何回も聞かせられる。忍耐強く付き合うしかないんだけれどね。」
ローマ入りした頃、2人はお互いの顔を見るのもイヤな気分になり始めたそうだ。そしてシドニー入りすると、お互いを「殺したい」と思うほどの憎しみすら湧いて来て、ひたすらその悪感情を隠しながら、仮面の笑顔でプロモーションを続けたそうだ。
「なぜってその頃の僕たちは、記者会見のマイクに向かってお互いが話す言葉を、一字一句間違えずに暗記しちゃっている状態。僕が質問に答える番になった時にちらっと彼女を見たら、彼女が僕が喋るのと全く同じ言葉をブツブツと口真似しているんだよね。もうウンザリって感じだったよ。」
ようやく一連のプロモーション活動からは解放されたバンデラス。終わってみれば何のことはない。「やっぱり僕はサルマのことが大好きなんだ。本当に素晴らしい女優だと思うよ」と共演した時の楽しさ、満足感などをかみしめている様子だ。
イヤというほど同じ質疑応答を繰り返すことも、人間にとっては意外と大きな苦痛を伴うものらしい。ただし役者は人々に夢と憧れを売る仕事。プロ意識の高い2人のこと、たくさんのファンの前で無愛想な振る舞いをすることだけはなかったようだ。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)