先日、フランス社製の豊胸用シリコンが医療用ではなく、実は工業用であったことが発覚。フランス国内だけでおよそ3万人の女性の胸に収まっているという衝撃のニュースが報じられた。そんななか、これまで3度もインプラントを入れ換えた巨乳がトレードマークの英モデル・歌手で、近頃ではビジネスの世界でも活動の幅を広げるケイティ・プライス(33)が、TV討論番組に出演し「豊胸には年齢制限を設けるべき」とコメントした。若すぎる層がインプラント豊胸術を受けている最近の傾向に苦言を呈したほか、インプラントの安全性についても発言をした。
「ジョーダン」のニックネームでも知られ、英国ではタレントとして大変な人気のケイティ。彼女が最初の豊胸手術を受けたのは18歳の時。女優パメラ・アンダーソンの出世作であるTVドラマ、『ベイウォッチ(BAYWATCH)』のオーディションに不合格になったことがきっかけで、「自分の胸は小さすぎるのでは?」と不安を抱いたためだと言われている。
彼女はまた、「ある人は鉛筆削りを発明して有名になるけれど、私はこの巨乳で有名になる。」と発言したことでも有名だ。しかしその後出産を経て、インプラントを小さいものに入れ替える手術を2度にわたって受けた。
そのケイティが2月7日、英『BBC』のお堅いニュース分析番組『Newsnight』にコメンテーターとして出演した。この日のテーマは、女性の豊胸の是非について。また最近問題となっている、フランスの『Poly Implant Prothese (PIP)』社製の豊胸インプラントの危険性についてだ。
PIP社のシリコンインプラントは、英国を含むヨーロッパや中南米など65か国で使われている商品で、これまでに30万個が女性達の胸に収まっている。しかし近頃、使われているシリコンの質が医療用ではなく、マットレス用などに使われる工業用の低質なものであること、さらにバッグが破裂して体内にシリコンが漏れ出る危険性が高いことが分かった。本国フランスでは同社の製品を抜去するよう奨励しているが、英国政府は、いまだ「破裂の危険がある」と明言していないため、不安が高まっているそうだ。ちなみに英国ではこれまでに、約4万人の女性が豊胸手術を受けた、という統計がある。
『Newsnight』ではケイティが開口一番、「私は18歳という年齢で最初の豊胸を受けたけど、ちょっと若すぎた。少なくとも21歳からにするなど、年齢制限を設けるべき。」と語った。その後ホストのジャーナリスト、ジェレミー・パックスマン氏に「でも豊胸そのものに危険は感じなかったのですか?」と聞かれ「どんな美容整形も、ナイフを体に入れるものはリスキーであることは、知っておくべきね。」とコメントした。
そういう彼女は自身の胸について今現在ハッピーなのだろうか? 「私は豊胸について悪い経験もしたわ。ベストなドクターを探したとしても、結局は体に異物を入れる訳だから、あなたの体がそれを拒絶するかもしれない、術後に問題が起きる人もいるの。」これは、ケイティが3回目に受けた手術後、ひどい痛みと食欲不振、不眠が続いたと語っていたことと合致する。しかし彼女は「今の胸にはハッピーよ。もう手術は沢山って感じだけれど。」と最終的には満足のいく胸を手に入れることができたとした。
インプラントを入れたのは、もちろん大きな胸を手に入れたかったから、という彼女だが、3回も手術を受けたのは何故なのだろうか? それについてケイティは、「3人の子供を出産した後、どんな胸でも、垂れてくることが分かったから。」と語り、「理想の大きさに到達するまでに、3回の入れ替えが必要だったの。」と明かした。
彼女の胸に挿入されているインプラントは、問題の仏PIP社のものではないらしいが、ケイティは手術の前にインプラントを「テスト」してみたことがあるという。「美容外科医にピンを借りて、シリコンのバッグに挿してみたけど、何も漏れてはこなかった。パンチしたり、床に投げてみたり、ちょっとヒステリー気味なまでに心配して、いろいろやってみたの。だって安全性を知りたかったから。」とのことだ。
以前、シャロン・オズボーンが、胸のバッグから漏れたシリコンが胃まで達していたという話題をご紹介したことがある。やはりインプラントは危険なのだろうか。改めてバッグ挿入法の安全性について、「池田ゆう子クリニック」院長・池田優子先生にお話をうかがった。池田先生は、バッグを挿入する方法ではなく、脂肪注入法という自分の脂肪をバストに注入して美乳をつくりあげるスペシャリストである。
-先生、今、英国で豊胸インプラントの危険性が問題となっているそうなのです。
池田先生「そのようですね。実は昨年の6月に『自己脂肪による幹細胞整形療法は美容外科に革命もたらす』というニュースが欧州から届いています。脂肪注入法の豊胸もそのひとつになるわけですが、このニュースからも、脂肪注入法によるバストアップが、いよいよ豊胸術の主流となってきていることがわかります。」
-豊胸術の主流が、バッグ式から脂肪注入法に変わってきているわけですね。それはやはりバッグ式が危険なためなのでしょうか。
池田先生「バッグ式では、異物を挿入することになるため、拒絶反応が起こる危険性があります。そして、術後1週間は相当な激痛がともないます。それに対して脂肪注入法ではご自身の身体にある余分な脂肪を吸引し、それをバストに注入しますので安全といえるでしょう。また、バッグ式ではバッグが破損するといった危険性もともないます。実際にバッグが破損したので除去したいと、私のクリニックにいらっしゃる方が最近増えています。」
-先生、今回のセレブ、ケイティ・プライスはそのバッグ式の豊胸術を3回も受けたというのです。しかもだんだん小さくしていったようです。
池田先生「それは考えられますね。バッグ式の場合は、年齢を重ねるごとにほかの部位が変化しているにもかかわらず、胸だけが突出したままなので違和感を生じることがあります。また、年月の経過につれて、バッグが硬くなって胸の形が崩れる危険性があります。それに対して脂肪注入法ではバストと同質の脂肪を利用しますので、不自然な硬さもなくレントゲンにも写りません。」
「手術はもうたくさん」と言うケイティも、バッグ式ゆえ、やむを得ず3度も手術したというわけか。先生のお話をうかがっていると、脂肪注入法が主流となるのはどうやら当然の流れと言えそうだ。
現在、この仏PIP社のインプラントの危険性については、各国が異なる対応を見せているため、不安を抱える女性達が世界中で苛立ちを募らせている。ケイティの言う通りいま欧米では、豊胸術を受ける年齢の若年化の問題と併せ、シリコンインプラントの安全性が、大いなる不安をもたらしているようだ。
※ 池田優子先生は、2002年3月渋谷に「池田ゆう子クリニック」を開院。過去5年で10,000件を超す手術を執刀するカリスマ・ドクター。カウンセリングからオペまでを院長自身が行う信頼感から、胸で悩む女性達の強い味方として現在の活躍に至っている。(HPはコチラ<http://ikeda-yuko.com/bustup/?lpomax=010>)
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)