初監督作品である『In the Land of Blood and Honey(原題)』のボスニアプレミアで、いつもはクールなアンジェリーナ・ジョリー(36)が涙を見せた。
90年代のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争下のサラエボで、セルビア人兵士と捕虜として捕えられたボスニア(ボシュニャク)人の女性との禁断のラブストーリーを描いた物語、『In the Land of Blood and Honey(原題)』を初監督したアンジー。撮影開始時のある日、女優業とは違う責任感の重さに、「こんな大それたことを引き受けてしまった私って、一体何者なの?」とシャワーを浴びながら泣き崩れてしまったことを告白していた。
14日、アンジーは物語の舞台であるサラエボにパートナーのブラッド・ピット(48)を伴い、プレミアのため登場。5000人の観客を前に映画を上映した。そこで受けた上映後のスタンディングオベーションに、再び熱い感情を抑えきれなくなってしまったようだ。
映画のキャストと共にステージ上に上がったアンジーだが、いつものクールさは消え声を震わせ目を潤ませながら、こうスピーチした。「この映画を皆さん全てと共有できることが、私にとって、そしてキャスト全員にどれだけ大きな意味を持っていることでしょう。そして皆さんが、これほど温かく私の映画を受け止めて下さったことは、私にとっての大きな財産です。」
その後のAP通信とのインタビューでは、女優業に対し「苛立ちを覚え始め、興味がなくなってきた」ことを告白。なぜなら監督業によって、今回の映画のような重要なテーマを描き観た人に影響を与えることのほうに、より大きな意義を感じ始めたからだという。アンジーは「私達は映画という媒体を、出来るだけの責任感を持って使うべきだということを決して忘れてはいけない。」と語ったそうだ。
しかし、今回のような政治的な映画を制作することには、リスクも伴うことをアンジーは知ったようだ。アンジーは英『ガーディアン』紙に、映画のリリース後、嫌がらせを受けていたことを明かしている。「私に脅迫文が送られて来たり、脅しの文句がオンラインに投稿されたり。キャストの数人は直接は言わないけれど車のウィンドウを割られたり、電話やEメールが盗聴されたことなどがあったと聞いたわ。」とのことだ。
そのこともあってか、アンジーはセルビア共和国の首都ベオグラードでのプレミアに出演することを取り止めた。これからは、ますます監督業にシフトしていってしまいそうなアンジー。6人の子供達と愛するブラピと過ごす時間も大事にしたいという彼女のこと、再度妊娠しているという説も根強く聞こえて来ていることもあり、「女優アンジェリーナ・ジョリー」の姿はもう当分、見られないのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)