日本の女優さんで言えば、吉永小百合と岩下志麻を足して2で割ったようなタイプであろうか。大変な存在感を誇るハリウッドの大女優メリル・ストリープ。しかしこの度の『第69回ゴールデングローブ賞』授賞式で披露したスピーチは、散々なものであった。
米国で15日に行われた同授賞式。ここでストリープは、2011年の映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(原題:The Iron Lady)』により、“Best Actress in a Motion Picture Drama(ドラマ部門の主演女優賞)”を受賞した。すでに7回の受賞経験を持つ彼女だが、ややウエスタン調の刺繍と広い腰回りがユニークな黒のドレスで壇上に上がると、本当に嬉しそうにその黄金のトロフィーを握りしめ、スピーチを始めた。
「主たる部分で本当に素晴らしい演技をしたのは…女性の皆さんで…友人であったり、まだよくは知らない方であったり…、常に私に多くのインスピレーションを与えて下さったのは…Oh, Sxxt!」
まさかストリープがそんな言葉を…。シーンとしてしまった会場のセレブの表情は、完全に固まってしまっている。感謝すべき人々の名をここで挙げたかったのだが、ストリープは言い出せなかったのだ。ここで一旦スピーチを休止し、彼女は番組のスタッフらしき人物を相手に、ジェスチャーを交え小声で「メガネがないのよ」と弱り切った顔を見せる。自分のテーブルに置き忘れてしまったのだ。
だが彼女はすぐに諦めた。彼女は「ああ、こんなことになるからスピーチはちゃんと暗記しておかなくちゃダメね!」と嘆き、観念したような笑顔を浮かべて深呼吸し、その後も懸命にスピーチを続ける。ジョージ・クルーニーらが、リレーで眼鏡を手渡すよう努める一幕もあったが、結局彼女は最後まで裸眼のまま頑張った。
残念だが、「さすがは大女優、舌も滑らかにその後はペラペラと共演者やスタッフの名を羅列した」とは行かず、途中からは呼吸まで荒くなり、それが彼女の狼狽ぶりを物語っていたように思う。「ド忘れ」か「物忘れ」かは分からないが、慌てるとロクなことはない。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)