金曜ナイトドラマ『13歳のハローワーク』(テレビ朝日系)で衝撃の事実が発覚した。前回放送の第2話で横山裕(関ジャニ∞)と古田新太が同一人物だったのだ。と、いうのも同ドラマ内で横山の22年後の姿を古田が演じているだけのことなのだが、分かったときは驚いた。しかし、よく見るとこの2人似ていないこともないかもしれないのだ。
ドラマの内容をざっとご紹介しよう。主人公・小暮鉄平(松岡昌宏)は高校卒業して警察官になるも、所轄の生活安全課での仕事にやりがいを感じることが出来ないでいた。彼女にも振られ「こんなはずじゃなかった」と思っていた35歳の誕生日に鉄平は22年前の1990年にタイムスリップしてしまう。そこで鉄平は13歳の自分を探し、人生をやり直そうと13歳の自分・テッペイ(田中偉登)に接触する。横山は鉄平を「アニキ」と慕う90年の高野清文。古田は2012年の鉄平と犬猿の仲である上司・高野だ。
2003年に刊行され、大ヒットした村上龍の同名作品が原作となっている。しかし原作は仕事図鑑のような体裁であり、ストーリーはドラマオリジナルとなる。鉄平はテッペイを大卒にするために学習塾に通わせる。そして、その塾のオーナー唄子(風吹ジュン)に裏の仕事を頼まれる。その仕事先で出会う人々を通し、さまざまな職業に触れていく。そこで鉄平が口を出すことにより、22年後少しずつ何か変わる。それは、決して大きなものではなく小さなものだ。でもその小さな気持ちの変化が、良い方向へ変わっているような内容になっている。
好きなことを極めて仕事にするか、親の仕事に憧れてその意思を引き継ぐなど、人がその職業を選ぶ理由、そして仕事とは何かということをストレートな表現ではないが、染み入るように教えてくれるようなドラマだ。
ただ、時代は90年。バブル全盛期と言われる超好景気の時代。今の日本と比べ物にならないほどお金の遣い方、若者の考え方が違う。それでも、90年の高野が東大卒のエリートでありながら「本当にやりたいことが見つかるまでは」と27歳でフリーターだったり、テッペイの塾でアルバイトをしている真野翔子(桐谷美玲)が「やりたいことなんて分からないけど、とりあえず就職しなきゃ」と就活する姿は、今と重なるものがある。ただ、彼らが抱える背景と現代の若者が抱える背景は大きく違う。しかし、働くことへの見えない不安は同じだったのかもしれない。90年の高野や翔子の言葉は現代でもよく聞くものだ。「自分には何が出来るのか分からない」、「一生を捧げるような仕事とは何か」そんな途方もない就職への不安はいつの時代も変わらないのかもしれない。
鉄平のタイムスリップは毎回ラストに2012年に戻ってくる。その都度自分の変化を確認するも目に見えた変化はない。鉄平がタイムスリップすることで何かが変わっているのか。それともはじめからそうだったのかは分からない。はたして鉄平は人生をやり直すことが出来るのか。そして、なぜ高野は刑事を選んだのか。桐谷演じる翔子は2012年で鉄平と接点はあるのか。そのあたりも気になるところだ。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)