writer : testjournalist

【ドラマの女王】普通の主婦役は無理? ドラマ初主演・栗山千明の醍醐味は“無口・無表情”。『秘密諜報員 エリカ』。

続々とスタートを切った秋の連ドラ陣。その中でも一足早く放映が開始されたのが栗山千明主演の木曜ミステリーシアター『秘密諜報員 エリカ』(日テレ系)だ。現在第2話まで放送されている。

内閣情報調査室・特殊課で働いていた高橋エリカ(栗山)だが、普通の生活がしたいとバツイチ子持ちの良介(東根作寿英)と結婚し、専業主婦として生活していた。ある日、エリカの元上司戸塚宗一(杉本哲太)が退職して新しく浮気調査や素行調査を行う「戸塚シークレットサービス」を立ち上げ、そのメンバーにエリカを誘う。一度は断るエリカだが、困っている依頼者を見て、仕事を手伝うことにする。

意外にも今回のドラマが栗山にとって連続ドラマ初主演作となる。栗山千明と言えば、ハリウッド映画『キル・ビル Vol.1』でGOGO夕張役に大抜擢されたことがまず思い浮かぶ。そんな『キル・ビル』も8年前の話である。それからいくつもの映画、ドラマなどに出演しているにもかかわらず、ぱっとしないまま今に至っている。

彼女は元々、中学生向けファッション雑誌『ニコラ』や『ピチレモン』の専属モデルだった。そこから女優へ転身したきっかけとなったのはホラー映画『死国』だ。白い着物に黒髪のロングヘアーのヒロインを覚えている人もいるのではないだろうか。あれが彼女の女優デビュー作である。その後『六番目の小夜子』(鈴木杏主演・NHK)や映画『バトル・ロワイアル』などでミステリアスな中学生を演じるなど、当時からミステリアスな役が多かった。最近は『ハゲタカ』(NHK)や『リバウンド』(日テレ系)で、年齢相応の一般的な女性を演じるもなぜかしっくりこないものばかり。その原因の一つとして、栗山の外見のわりに甘く幼い声が影響しているのかもしれない。確かに、GOGO夕張をはじめ、彼女のはまり役とされたものは、どれも無表情だったり口数の少ない役ばかりだ。

そして「秘密諜報員 エリカ」では、まさにそのことが裏付けられたといえるだろう。ドラマの見所でもあるエリカの潜入捜査の変装やアクションシーンはGOGO夕張を彷彿とさせるものがある。そんな立ち居振る舞いに「待ってました! これぞ栗山のはまり役!」と思ってしまうほどだ。しかし、その一方で普通の主婦のシーンでの演技が大根に見えてしまうのである。

女優として演技の幅は広げたいところではあるが、その一方で米倉涼子のようにはまり役だけに徹することも悪くないように思う。幸い栗山のような独特の雰囲気を醸し出す女優はあまりいないのだから、やりすぎなければ重宝されるだろう。そのためにはまず、今回の秘密諜報員役によって確固たるミステリアス女優の地位を築き、不動のものにしてもらいたいものである。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)