ロックバンド「ホール」のボーカルのコートニー・ラブ(47)が、94年に自殺した夫で、伝説のバンド「ニルヴァーナ」のボーカルだったカート・コバーン(享年27)について、「もしこの世に舞い戻ってきたら、殺してやりたいくらい憎たらしい。」と語った。
90年代を代表するグランジバンドだった、ニルヴァーナ。今年はそのメジャーデビューアルバム『ネヴァーマインド』発表後、20周年となる記念すべき年だ。リードボーカルだったカートは、そのカリスマ性から一躍ロックスターの仲間入りを果たすものの、うつ病とドラッグ依存症に苦しんだ。94年4月5日、妻コートニーと当時まだ2歳にも満たなかった一人娘を後に残し、シアトルの自宅でショットガン自殺。27歳という若さでこの世を去った伝説のミュージシャン達「27クラブ」の仲間入りをしてしまった。
あれから約17年。コートニーは『Vanity Fair』誌最新号のインタビューに応じ、夫カートが自殺を図ったことに対して、いまだに恨みの感情を抱いていることを次のように語った。「彼に対して怒っているか、ですって? もちろんよ! もしカートが今この世に舞い戻って来たら、自殺なんかしやがってと彼を殺してやるわ。」
コートニーはまた、カートに手を焼いていた当時の生活についても話す。「アイツは当時、少なくとも5回は薬物をオーバードースして、死にかけた。私はまるでE.M.S.(救急救命隊)みたいだった。私はいつもNarcan(オーバードース患者に静脈注射することで、呼吸を回復できる麻薬拮抗剤)を持ち歩いていたわ。」
そんなコートニーも、まともに親として面倒をみてやれずに育った娘、フランシス・ビーン・コバーンさん(19)についてだけは、フラストレーションを隠せない。コートニー自身のドラッグ依存症問題などから、フランシスの親権は2年前、裁判で法律上、彼女の祖母(カートの母のウェンディ・オコナーさん)の元に渡った。以後娘フランシスさんは、母コートニーに「接近禁止命令」を出すなど、絶縁状態を保っている。
「私がただ感じることは、どれだけ娘を愛してるかってことだけよ。」とコートニーは語る。「彼女が戻って来てくれて、私の寝室の廊下を歩くハイヒールの足音を聞けるなら、どんなことだってする。」しかし、親としての責任を果たせなかったことは分かっているようだ。現在ニューヨークにあるリベラルアーツ系の名門バード大学で学ぶフランシスさんが、7歳になるまで文字の読み書きができなかったことについて、「私の責任よ! 一度も絵本を読んでやらなかったから。それに、何で一度もブロードウェイショーに連れてってやらなかったんだろう? 娘はミュージカルが大好きだったのに。」と後悔する。
フランシスさんは学校に行けば、妊娠中にもドラッグをやっていたと噂の母コートニーや、薬物依存症で有名だった父カートについていじめられ、「ヘロイン・ベイビー」と呼ばれていたという。しかしそのフランシスさんは現在、ペンネームを使ってインク画などを描くアーティストとしてデビューし、両親とは違う道を歩み始めている。このほど亡き父の数ミリオンドルの遺産を使い、ハリウッドに200万ドル(約1億5300万円)の豪邸を購入したとも伝えられ、自立の意志は満々のようだ。しかし母をとても憎んでいるフランシスさんのこと、この豪邸に母コートニーを招待することは決してないであろう…。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)