米ABCの人気ダンスコンテスト番組『Dancing with the Stars(DWTS)』の新シーズンスタートを前に、コンテストに参加するセレブの顔ぶれが発表された。特筆すべきは、女性から男性へ性転換を遂げたシェールの元娘、チャズ・ボノ(42=写真)がコンテスタントの一人に選ばれ、「男性」として女性のパートナーと踊ることになったことだ。
05年からのロングラン番組『DWTS』の「シーズン13」が、今月19日から放映開始されるのに先立って、毎シーズン入れ替えられるコンテスタント(挑戦者)12人の顔ぶれが8月29日、発表された。
女性側のコンテスタントで特筆すべきは、CNNの24時間ニュース専門チャンネル『HLN』で、犯罪、事件や刑事裁判の行方を追う報道番組『Nancy Grace』のアンカーを務めている、元検事のナンシー・グレイス(51)が選ばれたこと。ナンシーは「舞踏会に招待されたシンデレラみたいに感じる。ダンスのやり方もわからないし、何を着たらいいかも分からない。」と『People』誌に語った。その硬派でやり手なイメージに反し、戸惑いながらもうれしそうだ。
また、男性側のコンテスタントでは、元祖歌姫シェールと元歌手・米国下院議員の父・故ソニー・ボノとの間に一人娘の「チャスティティ」として産まれ、40歳にして男性への性転換手術を受けたチャズ・ボノが、「男性」として選ばれたことに、大きな注目が集まっている。
08年に性転換手術を受け、昨年5月にはカリフォルニア州の裁判所で「男性」として法的に認められたチャズには、6年越しの交際中の婚約者の女性もおり、近く結婚したいとしている。しかし、そのチャズがABCというネットワーク局で、女性をパートナーに「タンゴ」や「チャチャチャ」といったダンスを踊ることになるとは、誰もが想像だにしなかった。
性転換した「男性」をレギュラー出演させるという「英断」を下したABCを、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、性転換者)コミュニティーはもろ手を挙げて賞賛している。同性愛者擁護団体の『Gay & Lesbian Alliance Against Defamation (GLAAD)』では、次のような声明文を発表した。「メディアにおける性転換者の代表が不足している今、チャズ・ボノが“DWTS”のキャストとして参加することは、性転換者がアメリカ文化のもう一つの素晴らしい部分であることを人々に認めてもらうための、大きな前進であるといえます。」
しかし、ABCの『DWTS』公式サイトの掲示板には、チャズがコンテスタントに選ばれたことについて、賞賛の声に加えて、あからさまに嫌悪感を示すコメントが、すでに多数寄せられているという。「番組のファンだけど、チャズが出るって聞いた時はむかついた。性転換というライフスタイルの選択が、メディアで賞賛され続けるのはもう見たくない。」「ゲイコミュニティーにはウケただろうけど、これでもう家族向けの番組ではなくなってしまった!!」「チャズを選んだのはやり過ぎ。うちの7歳児と9歳児がTVを見ているときに、性転換や性の混乱について子供達と会話するようなリスクをとりたくない。」
そんな批判をよそに、チャズ当人は連日ジムでの体作りに熱心に取り組んでいるほか、30日にはロサンゼルスで番組のリハーサルに参加したようだ。本人は、「番組に出ることは、性転換は怖がるようなことではなく、性転換者でいることはどうってことない、というシンプルなメッセージを、より多くの一般視聴者に伝えるための大きなチャンスだ。」と意気込んでいる。
番組の他のコンテスタントも、彩り豊かなセレブが勢揃い。主なメンバーを挙げれば、女優コートニー・コックスの元夫の俳優デヴィッド・アークエット(39)、女優で司会者のリッキー・レイク(42)、婚約者のNFL選手と破局したばかりの女優クリスティン・カヴァラーリ(24)、ジョージ・クルーニーの元カノジョで伊タレントのエリザベッタ・カナリス(32)、キム・カーダシアンの実弟、ロブ・カーダシアン(24)、リアリティ番組『Queer Eye』のパーソナリティ、カールソン・クレスリー(41)、「世界平和」に改名を申請しているNBAのLAレイカーズ、ロン・アーテスト選手(31)などがいる。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)