俳優モーガン・フリーマン(74)が23日、ゲスト出演した米CNNのトークショー『Piers Morgan Tonight』で、全米中で盛り上がりを見せる超保守派の政治運動、ティーパーティの動きを批判。「彼らはオバマ大統領に対する人種差別主義者の集まりだ。」と吠えた。
モーガンといえば、低音の響きが心地いい、あの魅惑のナレーションボイスで知られている。しかしそれを「逆利用」して有権者の心をつかもうと、昨年の11月と今年の7月、2度にわたって米超保守派の共和党政治団体の政治CMに「モーガン・フリーマン風」の偽ナレーションが使われ、本人が「あれは決して自分の声ではない」と関わりを否定していた。
08年の米大統領選挙では、一貫して当時のバラク・オバマ候補を支持、民主党を指示して来た「アンチ保守派」のモーガンだが、このほどトークショーで全米各地で盛り上がる超保守派の草の根政治運動、ティーパーティについて、全面的に批判した。
「野党である共和党を今やコントロールしているティーパーティだが、彼らが公共の場で唱えている政策は、ただオバマ大統領を1期で退けようとするためだけの政策だ。これの意味することは何か? “国のためなんてくそくらえ。我々はこの黒人を大統領の座から追い出すためには何でもするさ”っていうメッセージなのさ。」モーガンはこう吠える。
番組ホストのピアース・モーガン氏が「しかし、それは必ずしも人種差別とは呼べないのではないですか?」と切り返すと、モーガンは首を横に振りながら「いいや、これは(オバマ大統領に対する)明らかな人種差別だよ。」と断言した。
モーガンは「ティーパーティ運動が示しているものは、弱くて暗い、底辺のアメリカだ。」と語る。「我々はそんなものよりももっと良い国のはずだ。本当に。だからオバマが大統領に選ばれた時、多くの人々が涙したんじゃないか。“これが私達アメリカのあるべき姿なんだ”ってね。でもその後、物事があらぬ方向に回り始めた。それは、泥水をかき回すかのように、ティーパーティ運動員みたいな人々が表面に現れて来たせいなのさ。」
モーガンのこの痛烈な批判を受けて、米大統領選の共和党予備選に出馬しているハーマン・ケイン候補が、保守派のFOXニュースのインタビューで反論した。ケイン候補は、ティーパーティ運動からの支持を受けている。「モーガン・フリーマンを俳優として尊敬しているが、彼はティーパーティの政治活動に参加したことがあるかといったら疑わしい。ティーパーティが人種差別主義者だと批判する人達は皆、実際にティーパーティの集会に参加したことがない人達だ。」
モーガンは98年のスティーヴン・スピルバーグ製作総指揮のパニック映画『ディープ・インパクト』で一度、アメリカ大統領の役柄を演じているが、ケイン候補はそんなモーガンに対し「現実の政治は映画じゃない。」とも反論している。
「小さな政府」を推進しようとするティーパーティ運動の動きは、反オバマ運動の右派として草の根で広まり、昨年11月の米中間選挙では、野党・共和党大躍進の原動力ともなった。彼らは来年11月の米大統領選挙に向けて、現在も勢いを増しているところだが、モーガンは「ティーパーティの奴らにはオバマを退却させることは出来ないさ。結局自分で自分らの首を締めるだけだ。」と、あくまでもオバマ大統領再選を支持し続ける構えだ。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)