スポーツ界の暴れん坊として君臨していた元フィギュアスケーター、トーニャ・ハーディングをご記憶だろうか。そう、リレハンメル五輪の直前、最大のライバルであったナンシー・ケリガン選手を知人らに襲わせ負傷させた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」の首謀者である。その彼女の今をご紹介したい。
全米選手権での優勝をはじめ、数々の大会で素晴らしい成績を残していたトーニャであるが、ライバルであるケリガン選手に怪我を負わせた事件が明るみになり事態は一転。栄光を手にするため知人を利用してまでライバルを負傷させた姑息さが大バッシングされ、『リンクの花』だったはずのトーニャは『世紀の嫌われ者』になってしまった。その後1998年にはケリガン選手との和解が報じられるも、交際中の男性に暴行を加えた容疑で逮捕されたトーニャは、スケートで再び頂点に立つ夢を諦めることになった。
「ケリガン襲撃事件」の翌年には『The Golden Blades』というバンドで歌手活動を開始して話題になったトーニャであるが、オレゴン州では観客らから凄まじいブーイングを受け、ソーダまで投げかけられるという散々な目にあっている。その音痴ぶりだけが話題になるという悲惨さで、たった一度きりのショーをも無難にこなせぬまま、歌手活動は幕を閉じた。
その後はボクシング選手に転向しまずまずの成績をおさめたトーニャであったが、「喘息だから」という理由から、たったの数年でリングを去っている。
そんな紆余曲折を経て、彼女はなんと今年2月、40歳にして第一子となる元気な男の子を出産している。ちなみに過去に結婚と離婚を繰り返してきたトーニャであるが、現在は昨年6月に結婚した3人目の夫ジョセフ・ジェンス・プライス氏と赤ちゃんの3人で、幸せに暮らしているそうだ。「どうせ長続きしないのでは?」という世間の目は、あの事件から17年が経つ今もまだ冷たい。
暴力癖は精神疾患とも言われ、何度も繰り返す傾向にあるという。メル・ギブソンのように、何度もパートナーに手を上げるのはその顕著な例である。再び愛する人を見つけ母になったからには、トーニャも真面目に生きていってほしいと願わずにはいられない。
(TechinsightJapan編集部 ケイ小原)