writer : testjournalist

【ドラマの女王】朝ドラ出演俳優にも気付かない!ただの再現VTR『桜蘭高校ホスト部』。

放送開始前からドラマ化に対し、批判的な意見の多かったFriday Break『桜蘭高校ホスト部』(TBS系)。実際、スタートしての感想は「まぁ、形になっているかな」ではないだろうか。


原作は葉鳥ビスコの同名漫画だ。超セレブ高校に史上初の特待生として入学した藤岡ハルヒ(川口春奈)。ある日偶然通りかかったホスト部で数百万円もする壺を割ってしまう。その壺を弁償するためにハルヒはホストとして入部することになる。ホスト部には理事長の息子であり部長の自称「キング」こと須王環(山本裕典)、利益のためなら部員の隠し撮り写真なども売り出す影のキングともささやかれている鳳鏡夜(大東俊介)、甘いものと可愛いものが大好きなホスト部のマスコット的存在で実は武道の達人であるハニー先輩こと埴之塚光邦(千葉雄大)、寡黙なハニー先輩の幼馴染みモリ先輩こと銛之塚崇(中村昌也)。いたずらが好きで兄弟愛を売りとする双子の常陸院光(高木心平)、馨(高木万平)の一癖も二癖もあるイケメンに囲まれて、成長していく、今クールに多い男装+イケメンものの一つである。

このイケメンホスト部員を誰が演じるのか、特にハニー先輩の実写は無理ではないかと今回のドラマ化に対し、ファンの間では後ろ向きな意見が多かった。

まず、ハルヒ役の川口もイケメンに見えるかと言われれば見えない。しかし、それは原作にも言えたことであるので、さほど問題はないだろう。ハルヒはホスト部員にイケメンというよりかわいい女の子として見られているので、そのあたりに違和感はなかった。

それよりも環役の山本に違和感を覚えた。環は指名率No.1であるが、三枚目キャラであるがゆえコメディ要素も多い。そんな環を演じる山本の姿は違和感以外の何ものでもなかった。コメディ要素の強いシーンでは、吹っ切れていない様子が表情に見え、コメディには向いていないんだなと結論付けるしか出来なかった。これがこのドラマの第一印象だ。

加えて、一癖も二癖もあるはずのホスト部員が似たりよったりしている点も気になる。原作の設定以前に出演者自身に特徴がなく、見分けがつかないのだ。せめて手っ取り早い方法として髪の色くらい変えればいいものの、長さ、色、背丈と大きな違いがないのだ。それぞれ何らかの属性を持っているホストであるはずなのに、こんなにも見た目が似ていていいのだろうか。NHKの朝ドラに出演した経験もあり、それなりに顔も知られている鏡夜役の大東にクレジットを見るまで気が付かなかったほどだ。ハニー先輩の背丈が気に入らないことなど全く問題ではない。むしろハニー先輩役の千葉は健闘している方だと思う。

ストーリー自体はドラマ化によくある無理な変更点もなく、忠実に再現されている。作品のテンションも深夜枠と考えれば妥当なところだろう。これだけ脚本は忠実に再現することが出来たのだから、もう少しキャラクターの再現にも力を注げなかったのかと悔やまれる。そこがクリア出来ていれば、同局で放送中の『荒川アンダー ザ ブリッジ』に引けを取らなかったかもしれない。このままではただの再現VTRだ。ドラマという娯楽でなくなってしまう。ストーリーとキャラクターの両方が揃ってこそ、ドラマとしての面白さが出るのだから。せっかくセレブ高校生、ホストと華やかなキーワードが続いているのだ、もっとエンターテイメントとして遊んでも良かったのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)