英国の広告基準局は、女優ジュリア・ロバーツ(43)やスーパーモデルのクリスティ・ターリントン(42)を使ったロレアル社傘下の2つの化粧品ブランドの広告を、「エアブラシ加工で修正し過ぎており、消費者に誤解を招く」との理由で、英国内で使用禁止にする措置をとった。
ジュリア・ロバーツも、クリスティ・ターリントンも、ご覧のようにそのままでも十分美しい女性達。しかし彼女達の顔写真が、シミやくすみを隠すとうたう化粧品の宣伝のために、激しくエアブラシ加工されていたと知ったら、アナタは「騙されている」と憤るだろうか? それとも広告写真が加工されるのは、今時当たり前だから気にもとめない?
今回、英国内で使用禁止になったのは、ロバーツをモデルに使用した「ランコム」ブランドのリキッドファンデーション『Teint Miracle foundation』の広告と、ターリントンをモデルに使用した「メイベリンNY」ブランドのファンデーション『The Eraser』の広告。
『Teint Miracle foundation』は、「10年の歳月を費やした、7件の国際特許申請に値する技術」を使い、「薔薇抽出エキスを配合した超ライトウェイトなフォーミュラが、肌を完璧なものに仕上げる」商品だとうたっている。『The Eraser』は、「目の下のクマやシワ、カラスの足跡をインスタントにコンシール」する「新アンチエイジングファンデーション」だとしている。
訴えは、英国議会のジョー・スウィンソン下院議員から出されたもので、「エアブラシ加工は美について誤った印象を与える」とし、「世の若い女性達が、正しくないイメージと自分自身を比べ、引け目に思いかねない」としている。
これを受けて英広告基準局は27日、この2つの広告について審査と雑誌掲載を認めないとする決定を下した。同局の「消費者の誤解を招いていないという証拠を出せ」という要求に、ロレアル社は、2人のモデルの写真を修正したことは認めたものの、修正前の写真を提出することを「モデルとの契約上出来ない」と拒否したという。同社では、「2枚の広告写真は商品を使った結果作られる美しい肌を正確に表現しているもの」だと主張している。
写真のスリム加工や、胸元を豊満に見せる加工は、タレント自らが好むであろうし、それがピンナップ写真や雑誌の表紙になるならば、まだ害は少ない。しかし、それが商品を売るための広告写真だったら、今回のように「消費者を欺いている」とされてしまうかもしれない。今回の措置は、この先「修正し過ぎはダメかも?」と、さまざまな会社に一考させるための、ひとつの先例を作ったことになる。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)