原発事故のニュースで出てくる専門用語にもようやく耳慣れてきた感があるが、その一方で以前に比べて恐怖感が薄れてしまっているのも事実だ。いたずらに不安を煽ったり、無用な心配をする必要はないが、かと言って「また原発の話か」と危機意識が薄れてしまうのはかえって危険だ。
情報公開・説明責任と言うよりも、正しい情報認識、つまり我々日本国民の理解力・理解責任が問われていると言っても良い。まずは、ニュースで出てくる情報を自力で読解できる力が必要だ。
そこで有益なイベントを紹介したい。栃木・小山市にある白鴎大学は来月8日、公開講座「原子力エネルギーと原発事故の基礎知識 ~公表データの読み方~」を開催する。
これは、東日本大震災の津波による福島第一原子力発電所の事故が大きな問題となっている中、世界最悪の原発事故とされるチェルノブイリ事故を引き合いに、食糧汚染や放射線障害の問題を考えていくというもの。事前予約は不要で、参加は無料だ。
原子力が平和目的で利用されるようになって半世紀以上が経過し、今や日本の総発電量の3分の1は原子力に頼っている。近年は「原子力発電は大気を汚す窒素酸化物や地球温暖化の原因である二酸化炭素を排出しないので、火力発電より地球にやさしい」として次々と導入が進められた。
しかし、「何重にも保護対策が施されているので安全」といった安全神話はもはや崩れ去った。この公開講座では、原発事故に関する情報理解に必要な基礎知識、例えば核分裂や放射能、ベクレルやシーベルトなどの単位について基本的な解説を行い、さらにチェルノブイリを例に食糧汚染や放射線障害の問題を考えるという基礎的な内容だ。親子連れでの参加も良いだろう。
講師は白鴎大学経営学部の師啓二教授が務める。師教授は1949年東京生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科博士課程を卒業後、米・ニューヨーク州立大学研究員、米・スタンフォード大学研究員を経て現職。共著に『情報科学の基礎と活用』『現代の情報科学』などがある。
公開講座「原子力エネルギーと原発事故の基礎知識 ~公表データの読み方~」は6月8日(水)午後4時半から6時まで、白鴎大学(最寄り:JR小山駅)本校舎の3号館5階・350教室にて開催され、一般参加も可能。事前予約は不要。無料で受講できる。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)