俳優トム・クルーズ(48)の妻で、女優のケイティ・ホームズ(32)が、芸能誌「Star」を相手取って、日本円で約40億円の損害賠償を請求する名誉毀損訴訟を起こした。同誌にケイティが薬物依存症であるような記事が掲載され、読者に誤解を与えた上、事実無根の記事によって名誉を傷つけられたとしている。
問題になっているのは、「Star」誌の1月号。ひっつめ髪にうつろな目をしたケイティの顔写真に、「依存症の悪夢~ケイティ薬物の恐怖~彼女がトムから離れられない本当の理由」というショッキングな見出しが躍った。
しかし実際の記事は、ケイティが何かの薬物に依存しているわけではなく、彼女が夫トムと入信している新興宗教、サイエントロジーで、精神状態のカウンセリングに使われる電子機器「Eメーター」にハマっているというだけの内容。
サイエントロジーのカウンセリングは「オーディティング」と呼ばれ、「Eメーター」という人体の電気抵抗の変化を計測する装置を使って精神状態を測定し、その人の抱える問題を解決できるように導くというもの。「Star」誌では、この「Eメーター」が“痛みを消し去り、気分を高揚させる効果を持つホルモンであるエンドルフィンを放出する”とし、ケイティがこれにハマっている、と書いた。また記事には、サイエントロジーの信者のひとりが「Eメーター」について、「ヘロイン中毒者みたいに、さらなる服用をしたくなるようなもの」と称するコメントまで引用されている。
ケイティが雇った弁護士は、今まで夫トムの訴訟も数多く手がけてきたエンタメ訴訟のベテラン、バート・フィールズ氏。メディアの取材に応じ「雑誌は残酷にケイティを中傷しただけでなく公衆を安っぽく騙し、実際の記事の内容とは大きく異なった表紙で、ばかげたウソの申し立てをした」と「Star」誌を非難した。
さらにフィールズ氏は「ケイティは薬物依存によって夫から離れられないなどというわけがなく、夫の元を離れる意図もない」と主張。「Star」誌のやり方は雑誌を売ろうとするための悪意に満ちた非倫理的なものだとして、50ミリオンドル(約40億円)の損害賠償を要求し、徹底抗戦の構えである。
しかし、出版社側も引き下がりはしない。「Star」誌の発行元アメリカン・メディア社は、こう開き直る。「Star誌は、ホームズさんの“Eメーター”使用の問題について書いた記事の編集の正当性を主張したい。“Eメーター”のユーザーへの物理的影響については、重大な公共の問題。我々はホームズさんの訴訟に対して、徹底して自らを弁護するつもりだ。」
同誌は昨年の10月号、12月号でもそれぞれ、“ケイティと夫トムとの結婚生活が破綻しかけている”というテーマの記事を掲載してきた経緯があり、さすがのミセス・クルーズも堪忍袋の緒が切れたというところか。出版社にとっては、妻ケイティだけならまだしも、裁判上等、百戦錬磨の夫トムも敵に回したこの訴訟、結末はいかに?
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)