writer : testjournalist

【ドラマの女王】ドロドロなのに爽やか? 月9「大切なことはすべて君が教えてくれた」の昼ドラ化は何を教えてくれる?

戸田恵梨香三浦春馬というフレッシュな二人を迎えた今シーズンの月9「大切なことはすべて君が教えてくれた」が、昼ドラのようなドロドロ劇を展開している。

月9と言えば「ロングバケーション」「やまとなでしこ」などの高視聴率を連発したドラマの王道枠である。だが、最近はその月9神話も過去のものとなりつつある。だから今シーズン戸田と三浦という若手実力派を迎えると聞いた時は、フレッシュで爽やかなラブストーリーの王道を描くのではないだろうかと思われた。しかし、実際は三角関係のドロドロ劇だったので驚くばかりである。

高校の教師である上村夏実(戸田)と柏木修二(三浦)は生徒にも人気があり、結婚を控えた絵に描いたような幸せなカップルだった。そこにある日、酔った勢いで修二は自分のクラスの生徒である佐伯ひかり(武井咲)と関係を持ってしまう。修二はいつ夏実にバレてしまうかとひやひやし、ひかりはそんな修二を振り回していく。ここまではよくある三角関係なのだが、これも第2話で夏実にバレてしまう。このドラマのヤマ場は夏実にバレることではなかったのだ。
修二とひかりが関係も持つこと以外にも、実はひかりは薬を飲んでいないと女性でいられなかったり、修二とひかりの関係が学校や生徒にもバレてしまったり、夏実の妊娠が発覚するも修二に黙って産もうとするなど複雑な要素が詰め込まれている。もう、ここまでくると昼ドラではないだろうかと疑いたくなる設定の数々。だからこそ、なぜこのドラマの主演をこの二人に演じさせているのだろうかと思いたくなる。

戸田は生徒役はもうないにせよ、童顔がたたって生徒たちと同等、むしろ武井と並べば武井の方が年上に見えてしまう。三浦は昨年、映画「君に届け」で「超」が付く程の爽やかな男子高校生を演じ、その印象がまだ残っている。実年齢も20歳と若く、彼に教師役というのは少々飛躍しすぎているように感じるのは否めない。この二人に教師をさせるのならせめて教育実習生がいいところだろう。それなら生徒と関係を持ってもまだ納得が出来たかもしれない。

そんな二人が演じているからだろうか、こんなにも内容はドロドロしているのに実際に見てみるとどこか爽やかなのだ。画面がキラキラしているのだ。緊迫して見えるのは実年齢より大人びた武井と修二の兄・孝一役の新井浩文くらいかもしれない。もっと人間臭い方が毎回引き込まれてしまうと思うのだが、そこは昼ドラとの区別をつけるために計算されているのだろうか。

しかしそんなドロドロだったドラマも、折り返しである第5話でひかりが修二とは「何もなかった」と真実を告白し、ドロドロ劇の一つの要素がなくなった。それを受けた第6話は淡白な恋愛ドラマになっていた。せっかく昼ドラとして見れば面白いドラマだと楽しみにしていたのに残念である。このまま爽やかな恋愛ドラマに成り下がってしまうのと思うと少し淋しい。あそこまでいったのだからとことん「月9でこの内容」と驚かせ続けてほしいものである。

こうなったら、夏実と修二の結婚式のウェディングプランナーであり、夏実のルームメイト、修二の元彼女という二人と蜜に繋がっている東堂さやか(篠田麻里子・AKB48)が物語をかき乱したりしないだろうかと、つい期待をしてしまう。これはただ幸せなカップルを見せつけられるより、他人の不幸を見ている方がいいという気持ちの表れなのだろか。ネット上でよく見かける「リア充爆発しろ」という意味が少し理解出来た気がした。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)