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(ジャンル:ジャズ)
蒸し暑い季節。音楽で暑気払いをと考えるならば、派手で豪快なジャズでキメたいものである。ジャズ入門本には必ずと言っていいほど紹介されると同時に、ベテランジャズリスナーでも何かスカっとしたいときに聴きたいジャズといえば、これしかない。アート・ブレイキー「バードランドの夜」である。
メンバーは、アート・ブレイキー(ドラムス)、クリフォード・ブラウン(トランペット)、ルー・ドナルドソン(アルトサックス)、ホレス・シルヴァー(ピアノ)、カーリー・ラッセル(ベース)の5人。
特に素晴らしいのが、当時破竹の勢いだった若手トランペッター、クリフォード・ブラウンがブレイキーの挑発ドラムにプッシュされて猛然と吹きまくる「スプリット・キック」と、後年ソウルジャズに傾倒していくルー・ドナルドソンがここでは思い切りチャーリー・パーカーになりきって吹きまくる「チュニジアの夜」である。
この「チュジニアの夜」という曲は、アート・ブレイキーの定番曲となるのだが、60年代以降の演奏にはかなりかしましいアフロキューバンなドラムソロが入るので、嫌いという人も多い。しかし、ここでは比較的、ジャズの定番曲としての演奏に徹していて、これなら聴けるという上品な演奏だ。
また、あまり注目されないが、バラード曲「ワンス・イン・ア・ホワイル」は、クリフォード・ブラウンが、希代の名バラードプレイヤーでもあることを実感させてくれる素晴らしい演奏だ。
奇跡的な名演がぎっしり収録された、ジャズ史上永遠に残る名盤であるとともに、暑気払いに最高の豪快ジャズである。
Vol.1とVol.2があるが、ジャズ入門者はVol.1だけで十分であろう。ハード・バップの醍醐味を存分に味わえる素晴らしいアルバムで、暑い季節を乗り切ってほしいものである。
(収録曲)
1. イントロデューシング by ピー・ウィー・マーケット
2. スプリット・キック
3. ワンス・イン・ア・ホワイル
4. クイックシルヴァー
5. チュニジアの夜
6. メイリー
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)