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(ジャンル:ロック)
マドンナといえば、80年代の人という印象があるが、時代の雰囲気に着実にフィットした作品を発表し続けている、セックスシンボルというイメージに忠実な作品もある一方で、ブラックコンテンポラリーに接近した渋いアルバムも出している。それが今回紹介する「ベッドタイムストーリーズ」である。
「ベッドタイム・ストーリーズ」は、前作「エロティカ」の過激&エレクトロニカ路線を返上し、一気にブラックコンテンポラリー系路線に転向した、ある意味で異色作である。
女性アーティストが長期間活動していく上で、必ずぶつかる問題が、感性と音楽のせめぎ合いであり、自分のセクシャリティを売り物にすることのさじ加減である。
男性アーティストに比べて、女性アーティストは感性重視、肉体性重視に傾く傾向があり、これらを年齢を重ねながらうまく時代と折り合いを付けていかなければならない。
何歳になってもコドモのままでいても、渋い中年に脱皮しても、どちらでも芸になる男性アーティストと大きく違う点だ。
そういう意味で、この「ベッドタイム・ストーリーズ」は、ステキな大人の女性が歌う、渋めポップスとして非常に素晴らしい出来映えである。
タイトル曲は、先鋭的アーティスト「ビョーク」の提供作品。そのほかブラックミュージック系の大御所や、当時人気絶頂のベイビーフェイスが手がけている。
タイトル通りに、夜寝る前のルームの雰囲気作りに、一日の疲れを癒す音楽としてふさわしい。シングルカットされた「テイク・ア・バウ」は、売れ線狙いとは言え、切なく美しいバラードとしてロングヒットを記録した。
賛否両論ある作品だが、たぶんに「マドンナに何を求めるか」というファンの思惑の違いが反映されているようだ。アダルトコンテンポラリーとして虚心に聴けば、必ずすばらしさがわかるに違いない。
(収録曲)
1. サバイバル
2. シークレット
3. ビー・ユア・ラヴァー
4. ドント・ストップ
5. インサイド・オブ・ミー
6. ヒューマン・ネイチャー
7. フォービドゥン・ラヴ
8. ラヴ・トライド・トゥ・ウエルカム・ミー
9. サンクチュアリ
10. ベッドタイム・ストーリー
11. テイク・ア・バウ
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)