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(ジャンル:フォルクローレ)
フォルクローレといえば、「コンドルは飛んでいく」が有名であるが、アルゼンチンのフォルクローレはもっと都会的で哀愁に満ちた音楽である。
そのアルゼンチンフォルクローレの偉大な歌手にして「アルゼンチンの母」とまで形容されるメルセデス・ソーサが、カトリックの典礼音楽であるミサ曲をフォルクローレと融合させた素晴らしいアルバムが「ミサ・クリオージャ」である。
まず、カトリック典礼音楽について簡単に紹介すると、第二次大戦直後までは全世界でラテン語典礼文によるミサが行われていたのだが、1960年代の第二バチカン公会議以降は、それぞれの国の言葉で、かつそれぞれの国の音楽的な文化を尊重したミサが行われるようになった。
その影響もあってか、ここではフォルクローレの哀切なメロディに合唱をミックスさせた、異種混交なミサ曲となっている。
普段、クラシック音楽で触れるミサ曲のような、ヨーロッパ的な響きとは無縁の、深遠な南米の祈りの歌声が感動的だ。
特に冒頭に置かれるキリエ(求憐唱)の、深い余韻は、心の奥底にある敬虔な気持ちを呼び覚まさずにはいられない。
併録されている、組曲「アルゼンチンのクリスマス」は、有名なクリスマス降誕物語を歌った、こちらはうってかわって子どもでも楽しめるラブリーな曲だ。崇高な音楽に浸ったあとに聴けるよう、よく考えて収録されている。
フォルクローレの入門にもふさわしい1枚といえよう。
(収録曲)
1. ミサ・クリオージャ(南米大陸のミサ)~キリエ(ビダーラ~バグアラ)
2. ミサ・クリオージャ(南米大陸のミサ)~グローリア(カルナバリート~ヤラビ)
3. ミサ・クリオージャ(南米大陸のミサ)~クレド(チャカレーラ・トルンカ)
4. ミサ・クリオージャ(南米大陸のミサ)~サンクトゥス(カルナバル・コチャバンビーノ)
5. ミサ・クリオージャ(南米大陸のミサ)~アニュス・デイ(エスティロ・パンペアーノ)
6. アルゼンチンのクリスマス~マリアへのお告げ(チャマメ)
7. アルゼンチンのクリスマス~さすらい(ウエジャ・パンペアーナ)
8. アルゼンチンのクリスマス~誕生(ビダーラ・カタマルケーニャ)
9. アルゼンチンのクリスマス~羊飼いたち(チャージャ・リオハーナ)
10. アルゼンチンのクリスマス~東方の三博士(タキラリ)
11. アルゼンチンのクリスマス~逃避行(ビダーラ・トゥクマーナ)
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)