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(ジャンル:ニューエイジ)
オカリナという楽器は音色自体が歌っている。その音色はどこか寂しげで遠いふるさとを思うような切ない調べである。
そこがたまらなく好きだという人は多いのだが、聴いているうちに悲しくなってくるという人もいる。オカリナ奏者宗次郎のアルバムに対してもそういった声が聞かれたが、そのムードを払拭してオカリナの音色の魅力を120%引き出した名盤が、今回紹介する「あゆみ」である。
まず、このアルバムはアレンジャーである大島ミチルの編曲が卓越している。それまで宗次郎サウンドは平板で奥行きのないバックサウンドやスタジオミュージシャンのやっつけ仕事的なアレンジで、オカリナが寂しく歌っているものが多かった。
しかし、ここでの大島氏のアレンジはアコースティック主体にオーケストラを上手に使った奥行きのあるサウンドで、オカリナの音色を引き立てている。
また、1曲ごとにさまざまな変化があり、壮大な曲から室内楽的な曲までさまざまな表情が楽しめる。そしてゲストヴォーカリストを迎えてのモンゴル的な楽想も非常に素晴らしい。
アルバムを通して聴くと、草原を旅する遊牧民になったような健やかな気持ちになる作品である。
それまでの宗次郎のアルバムに見られた、妙な寂しさは極力抑えられており、前向きな気持ちになれる作品だ。
ニューエイジ系ミュージックの好きな人だけではなく、ワールドミュージックファンにもぜひ聴いてほしい傑作である。
(収録曲)
1. あゆみ
2. 花ふる道
3. 三日月が笑ってる
4. 西都
5. 旅立ち
6. 夢の道
7. 道行
8. 春の道
9. 大空と雲と
10. 青空を越えて
(TechinsightJapan編集部 真田 裕一)