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(ジャンル:クラシック)
1980年代までは、クラシック演奏家が、軽い定番曲やポピュラーソングを演奏すると「セミクラシック」と呼ばれて、格が下がるものとされていたが、今は毎度おなじみのクラシック名曲だけではCDは売れないので、積極的にポピュラーミュージックが取り上げられている。
そんな中、高木綾子が録音したカーペンターズ曲集が非常に素晴らしいので、今回はこれを紹介したい。
クラシック音楽の世界で、新しいスタンダード(名曲集)と目されているポピュラーミュージックとされているのは、ビートルズ、エンニオ・モリコーネ、カーペンターズ、そして日本限定で久石譲のジブリミュージックなどが挙げられる。
ビートルズは、どちらかといえばポールの曲ばかりが好んで演奏されるので、コアなビートルズマニアは不興であろうが、メロディが美しいのでクラシック向きと言える。
カーペンターズであるが、実はジャズやロックのシンガーでカバーできる人がほとんどいないのだ。カレン・カーペンターの声がオリジナル過ぎて普遍性がないのである。どう歌っても余興になってしまうか、さもなくばカーペンターズのイメージぶち壊しになってしまうので、なかなか手が付けられない。
その点、フルートのような肉声に近い管楽器ならば、カレンの歌声を存分に再現できると言ってよいだろう。
ポピュラーミュージックを演奏する場合は、編曲も重要である。下手にオリジナルを尊重したり、ビートを加えたりすると聴くに堪えないものができあがるが、このアルバムでは上品な室内楽として編曲されており、カーペンターズ演奏の理想的な姿と言える。
余談であるが、人気アルパ奏者の上松美香も近年カーペンターズ作品集を発表しており、聴き比べてみるのも一興だろう。
カーペンターズのスタンダードはほぼ網羅しており、おなじみのメロディがカレンを彷彿とさせるフルートの音色で堪能できる。
(収録曲)
1. 青春の輝き
2. 想い出にさようなら
3. マスカレード
4. 涙の乗車券
5. ジャンバラヤ
6. スーパースター
7. シング~愛は夢の中に~小さな愛の願い
8. イエスタデイ・ワンス・モア
9. デスペラード
10. 遥かなる影
11. 雨の日と月曜日は
12. トップ・オブ・ザ・ワールド
13. 愛のプレリュード
14. ア・ソング・フォー・ユー
15. ハーティング・イーチ・アザー~ふたりの誓い
16. 動物と子供達の詩
17. ナウ
(TechinsightJapan編集部 真田 裕一)