writer : techinsight

【お笑い峰打ちコラム】あべこうじ、悲願のR-1優勝

 R-1ぐらんぷり2010はあべこうじ(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)が優勝。あべは2004年から6回連続で決勝に進出していた。

 ピン芸人となっておよそ9年。漫談にこだわり続け、今大会でも漫談の強さを見せたいとコメントしている。その言葉通り得意の漫談で栄誉を掴んだわけだが、それには今年ならではの事情が窺える。

 今年のR-1は正直いまひとつだった。ネタ自体はつまらなくはないのだが、なかなか会場が温まらない。審査もどこかちぐはぐであり、上質かつオリジナリティあふれるネタを披露した我人祥太の得点で首をかしげたのは私だけではあるまい。その後はなだぎ武、エハラマサヒロと比較的高得点が続いたものの、会場にはしらけた空気すら漂っているように思えた。

 このタイミングであべの登場である。毎年地味な印象であったが、今年に限ってはなんとも言い難い会場の空気とあべの漫談が見事な化学反応を見せた。だがそれはもちろんあべの確かな実力があってこそ。類稀なる話術を持ちながらいまひとつ評価されてこなかった男が千載一遇の好機に出会い、その実力を世間に知らしめたのである。

 “漫談は強い”ことを自らの優勝で証明したあべ。この点についてはまた、時間をかけてゆっくりと書きたいと思う。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)