writer : techinsight

【ドラマの女王】「龍馬伝」より大河向き?『坂の上の雲』

今回の【ドラマの女王】は、NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』。年末に入って連続ドラマが全部終わりかけの今、なぜか大河ドラマの後に始まってしまった壮大歴史ドラマ。豪華出演陣に海外ロケ、セレブの歌う主題歌など、力の入れようもハンパないNHK。時代もちょっとカブってるし、いずれの主人公も出身は同じ四国。もしかすると来年の大河「龍馬伝」を食ってしまうかも!?

高視聴率だった「TBS亀田×内藤戦」の裏だった『坂の上の雲』第一話。

四国は伊予(現在の愛媛県)出身で、日露戦争で活躍した海軍の軍人・秋山真之(本木雅弘)。彼が生まれた時、貧困のあまり、父(伊東四朗)は真之を養子へ出そうとした。真之の兄で、のちに「日本騎兵の父」と呼ばれることになる秋山好古(阿部寛)は、「僕が一生懸命勉強して弟を立派に育てる!」と懇願、言うとおり好古は猛勉強の末に軍人となり、中学校を卒業した真之を東京へ呼ぶ。
この二人の幼馴なじみだった歌人・正岡子規(香川照之)の人生も絡ませ、混沌とした明治の日本で、大きく活躍した若者たちを描く青春群像ストーリー。

幕末→明治維新で一斉に無職になった武家の様子が、バブル崩壊後のサラリーマン家庭みたいで痛々しい。どんな時代でも運命を切り開いていくにはやっぱり勉強しかないらしく、子供の教育の大事さを痛感する。この先“ゆとり”とか言ってる場合じゃないな。最初可愛かった子役たちが、急に『カイジ』での香川照之や、阿部ちゃんに変わりガッカリ。しかし、『NAI・NAI 16』(「シブがき隊」)から四半世紀、立派な俳優へと成長した本木雅弘はカッコイイ。

特に蒔を割ったり、瓦修繕したりする時の半裸姿がセクシー。
時代劇にハマる菅野美穂にピッタリ子規の妹・正岡律(まさおか りつ)は 「子規庵保存会」の初代理事長を務めたけっこう有名な人。ちなみに少女期を演じたのは『ギネ』出演中の吉田里琴。存在感が大きい。

5年ほど前にNHKが遺族の許諾を得て、大河ドラマとは別枠の「21世紀スペシャル大河ドラマ」として制作された『坂の上の雲』。しかし途中、NHKの不祥事や脚本家の自殺など、紆余曲折あってノビノビになっていた。そして制作費の“ムダ使い”も激しい。海外ロケはまだしも、主題歌にサラ・ブライトマンまで使うなんて!日本のオペラ歌手で充分だ。ここまでやるならいっそ、『龍馬伝』じゃなくてこれを大河ドラマにすればよかったんじゃないか。ただでさえTBSの『JIN』の“内野龍馬”が好評なだけに、またまた“福山龍馬”が出づらくなっちゃうよ。

原作者の司馬遼太郎先生が生前、「この作品だけは映像化は無理。」とドラマ・映画化の申し出を辞退していたそうだが、司馬センセイ、心配ご無用。『坂の上の雲』は複雑でスケールがデカくても、映像化にはもってこいの作品デスヨ! なんてったってテレビは、『ブラッディ・マンディ』『銭ゲバ』みたいな、とんでもないマンガだってドラマ化しちゃうんだから。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)