Xファクターを始めとする、いまや世界中が注目するイギリス式の素人参加型TV公開オーディション番組。最近ではスーザン・ボイルを発掘したこともあり、この手の番組がアメリカでも大きな話題を呼んでいるようだ。そんななか、なんと今度は”アノ人”が審査員を買ってでたという。
その人とは、一度は引退宣言を出しながらも今春にリリースされたニューアルバムも好調なエミネム。
エミネムは、XファクターにおけるHIP HOP分野の開拓が乏しいことに触れ、「俺みたいなのが審査員にいないうちはXファクターからHIP HOPのニュー・スターは出て来ないだろうな」とボヤいているのだ。
番組の改善のため、エミネム自身のみならず、師匠でありアメリカHIP HOP界のドンとも言えるドクター・ドレもイギリスのHIP HOPシーンの活性化に力を貸せるとアピールしている。
この申し出は気まぐれではなく、エミネム自身は至って真剣で、「ジャッジ自体に不満はないが、ここは一発どんぐりの背比べは終わりにして、地球規模で成功できるスターを二人で見つけてみせるぜ。イギリスにもまだまだいるHIP HOPの才能達のきっかけを俺たちが作れるはず。」と豪語しているという。
しかし、先日もこちらでお伝えした、歌唱力の無さで番組を去ることになった双子の例もあるように、Xファクターは“歌唱コンテスト”の向きが強い。それゆえに、イギリスらしいポップスのみならず、人種問わずでR&B分野の参加者も多い。それが、ラップとなるとメロディラインが無いがゆえ、これを“歌”と捉えるかどうかをまずプロデューサーのサイモン氏に理解してもらい、更にアメリカとイギリスの音楽産業の差を埋めて行く必要がありそうだ。
何はともあれ、アメリカのトップ・ヒップホッパーまでもが顔を連ねたがるXファクターの世界的影響力が脅威である。そして、エミネムもまた、一体どこに辿り着きたいのかついつい曖昧になりがちなセレブの一人である。
(TechinsightJapan編集部 一平インディ)