writer : techinsight

【ドラマの女王】自分を見失った小栗旬。輝かない水嶋ヒロ。 ムダな抵抗はやめろ。『東京DOGS』

今回の【ドラマの女王】は、小栗旬主演『東京DOGS』(フジテレビ系)。月9枠では『君の瞳をタイホする!』(1988年)以来21年ぶりとなる刑事ドラマ。ニューヨーク警察のエリート刑事・高倉奏(小栗旬)と血の気が多い暴走族上がりの刑事・工藤マルオ(水嶋ヒロ)がコンビ(番組的にはバディ)を組み、数々の事件に挑んでいくストーリーに興味津々。さて小栗旬、水嶋ヒロ月9枠初出演の初回は記者の期待に応えてくれたのか。

国際麻薬シンジケートの取引が行われているニューヨークのとある駐車場に踏み込んだ、日米ポリス。日本からは工藤マルオ(水嶋ヒロ)と後輩の堀川経一(勝地涼)。そして地元ニューヨーク市警を指揮するのは若きエリート刑事の高倉奏(小栗旬)。ボスを取り逃がし、現場に取り残された日本人女性、松永由岐(吉高由里子)は記憶喪失になっていた。悪の組織の情報を記憶している由岐をつれて日本へ来た奏と、帰国したマルオは事件解決のため協力しあう事になる。

第一回はだいたいまとまりが悪いモノだが、そうでもなかった『東京DOGS』。でもスケールも躍動感も小さめ。『ドロップ』ほど輝かない水嶋ヒロに期待は裏切られる。

一向に記憶が戻らない由岐の鼻歌やトランプの遊び方から、組織に関わる男・棚島秀夫(成宮寛貴)との関りをつかむ奏。綿密な捜査を続ける。その後、ドラマではあんまり主役をやらない成宮くん扮する棚島が由岐を誘拐。『ブラッディ・マンデイ』(TBS系)のテロリストJだとか、「はだしのゲン」(フジテレビ系)での画学生だとか、必ず印象的な演技で“主役を食う”成宮寛貴。潜伏する組織に関わる男を繊細に演じ、少なくともヒゲの水嶋ヒロよりワイルドでかっこいい。

棚島が死に、組織は闇の中へ。直後に「タイ料理はマズイ(行っては“まずい”とかけている)」と寒すぎるギャグを言わされる小栗。成宮の熱演の余韻が台無し。「堅物だけどお茶目」な俺を出したいのは分かるが、自分でもどうしていいのか分からない感じだ。妙な軽さを出そうと無理している水嶋ヒロといい、二人ともイメージ・チェンジに苦戦中。刑事モノらしく、「ムダな抵抗」はやめたほうがいい。素のほうがかっこいかも。

『篤姫』でジョン万次郎だった勝地涼の若い刑事、その恋人に『色即ぜねれいしょん』の臼田あさ美。この二人はブレイク前の青田買い。その他大塚寧々と、ともさかりえが絶妙に適齢期をはずし、綾香も山田優もこれで心配ナシ?とキャスティングに気をつかう。
頼りない三浦友和の捜査課長、東幹久(パパ刑事)、志賀廣太郎(枯れオヤジ刑事)の警察の男たち、捜査中の奏に電話してくる“のん気な奏の母” 京子(田中好子)など大人キャストもいい味。今後の出演が楽しみだ。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)