今年2月、ブラッド・ピット主演の『ベンジャミン・バトン』が欲しかったアカデミー賞の数々を、みるみる奪ってしまったのが『スラムドッグ$ミリオネア』。インド・ムンバイから出てきて、次々とミリオネア・クイズを正解する“ジャマール”の幼少期を演じて気を博した、アザルディン・イスマイル君(10)の父親が亡くなった。
アザルディン君の父親の名はモハメッド・イスマイル・シャイクさん。肺結核を患っており、ムンバイの自宅で療養していたが、ここ数週間は立って歩くことすら出来無いほど衰弱がひどかった。そして今月4日、アザルディン君は学校から帰宅して父の死を知り、泣き崩れてしまったという。
2月のアカデミー賞授賞式では、ハリウッドの大スターたちに囲まれ、オスカー像を抱いてレッド・カーペットを笑顔で歩いたアザルディン君であったが、その後はあっという間にインド・ムンバイの自宅に戻っていた。
そこはTVもハリウッドも関係ない、生きることにただ必死なスラム街。ロサンジェルスからの長旅の疲れでダラダラし、父親の命令に従わなかった途端に頬を叩かれ、大泣きするアザルディン君の姿が報じられたこともあった。だが、大切な大黒柱の死に、一家は今大変な悲しみに打ちひしがれているという。
なお『スラムドッグ$…』に出演した子役のルビーナ・アリちゃんとこのアザルディン君には、大ヒットのご褒美として、キッチンなどの設備が整ったアパート(日本円にして90万円ほど)が5月下旬にプレゼントされている。アザルディン君はほんの数か月ではあるが、モハメッドさんに大きな孝行を見せることが出来たようだ。
同作品の監督、ダニー・ボイル氏は、アザルディン君の家庭を10月にも弔問したいとしている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)