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すでに報道されているところだが、8月中に作業が終わった次年度予算概算要求がいったん白紙に戻されて、10月中に再度予算の組み直しが行われるとのことだ。
例年クリスマスイブに決定する次年度予算政府案が間に合うのかどうか非常に難しいところであろう。今回はこのシーリングというものについて、当連載がわかりやすく解説を試みたい。
お役人はどんな仕事で疲れるかという問いに対して、おそらく筆頭に上がるのがこのシーリングである。
シーリングとは、本来「天井」という意味である。転じて予算の要求限度/方針という意味であるが、お役人を疲れさせるのはさらに転じて、新規予算要求と既得予算削減のトレードオフである。
つまり何か新しい事業を立ち上げようと思ったら、すでに毎年予算獲得実績のある事業の予算を減らさねばならない。
減らされる部署は当然面白くないから抵抗する。どの程度の削減なら飲めるのか、あるいは飲めないのかは、部署と部署の力関係、さらには部署のリーダー同士の力関係で決まる。
新規事業の部署と、削減対象の部署はお互いの意地とメンツにかけて戦う。査定官庁である財務省と戦う前に、省内の戦いに勝たねば新規事業は出来ないのだ。大変な消耗戦となる。
結局、トップの調整の元で、お互いのメンツがほどほどに立つ程度の結論に落ち着いて、やっと財務省に対して切り込んでいく。
そのシーリングが、今回廃止されるということで、お役人は楽になれば良いのだが、残念ながら、制度激変による疲労はかえって高まるであろう。
次年度予算の行方には当分目が離せないようだ。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)