今回の【ドラマの女王】は、前作クール『ぼくの妹』の惨敗をかき消すように、7月早々に始まった『官僚たちの夏』。昨今「派遣切り」だの、「労働者の権利」だのと大騒ぎしている空前の“左寄り”時代において、あえて「道路」、「自動車」、「官僚」といった“極右”な題材にオヤジ好みの役者を配し、勝負に出てしまうTBS系。「いまやドラマも“富裕層”向けビジネス。」といわんばかりに、モノを買う金があってネットよりもテレビを見てくれる層にターゲットを絞ったこの作戦。案外成功するかも。
オダジョや長澤まさみ、千原ジュニアの貧乏人が「カネ」で右往左往する前クールの『ぼくの妹』。死者を出した下水工事の現場から地上を見るシーンなど“社会的弱者”にもスポットを当て、日本中に溢れる「待遇不満」を訴える若者や、庶民に媚びてみた。だけど、みんなにそっぽを向むかれてしまい、焦ったTBS。そこで夏のドラマはカネをかけ、視聴者のターゲットを“富裕層”に絞り込んだ。というよりドラマの熱の入れようが違う。同枠2007年の『華麗なる一族』の北大路欣也が出てくるあたり、多分始めから前クールは予算調整の「捨て鉢」ドラマだったのだろうか。“惨敗女優の泥をかぶった”まさみちゃんは、まさに第二の『鉄板少女アカネ』ちゃん。
今回の『官僚たちの夏』の視聴者ターゲットは、まさに団塊の世代とその上の層。しかも特にアピールしたいのは、日本の総資産の80%を持っている“富裕層”の人たちである。ナントカの法則でいうと、日本人口全体の20%くらいの人数かもしれないけど見てもらう価値は高い。まあ、ぶっちゃけ元々の金持ちや、元建設省OBの天下り族、ゼネコン、自動車会社の「現役退職者」の年寄り連中を喜ばせる為だけに始まったドラマである。題名からして『官僚たちの夏』。もう、TBSもなりふり構っていられない。
こういったドラマを楽しく見られる人たちは、GM倒産もなんのその、エコカー減税に合わせてプリウスやらインサイトやらをポンとキャッシュで買ってしまったり、“企業崇拝番組”「カンブリア宮殿」のファンだったり、「プロジェクトX」に熱くなった人たちである。そう、まさに「自分たちこそが日本を作った。」と勘違いしている人たち。彼らがすった甘い汁のおかげで、日本が借金だらけになってしまったことなどいざ知らず、いまだに地方に高速道路引こうとか寝ぼけたことを言っている輩がほとんどである。
このドラマが始まると聞いた時点で「けっ」となってしまい、見る気を無くした貧乏暮らしの記者。初回は冷静にドラマを判断する事など出来ないので、日テレの『行列』を見てからチャンネルを合わせる。初回スペシャルにて「第一回のおしり」だけ見た。
時代を映し出す古風なセットに熱く燃える男たち、映画のように豪華なキャストに目が奪われる。佐藤浩市、北大路欣也、部下役の堺雅人や新聞記者の佐野史郎もいい味。そして来週の予告編には、記者大、大好きな特命係長・高橋克典の姿が・・・・・。
うーん、長いものには巻かれろ。長澤まさみちゃんごめんね。やっぱり、「小市民のプライド」なんか捨てて、富裕層のお相伴にあずかった「こっちのドラマ」の方が数段面白そうなのである。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)