高校の部活動として営業しているホストクラブの日常を描いた「桜蘭高校ホスト部」。ご想像の通り、いろいろなタイプの美少年が楽しめるキャラ漫画である。
自称“キング”こと「須王環」。フランス人とのハーフという美貌を活かした王子キャラである。若干ウザくておバカなのはご愛嬌。指名率70%を誇るナンバーワンホストだ。
副部長兼店長を務める「鳳鏡夜」はホスト部唯一の眼鏡キャラ。直情的な環とは好対照に冷静沈着な人物である。利に敏く、メリットのないことには興味ゼロ。他の部員たちから“魔王”と恐れられるほど腹黒い策士である。
行き過ぎた兄弟愛を売りに人気を勝ち得ている双子「常陸院光」「常陸院馨」。店では女子受けするBLを演じてはいるが、実際にはそこまでではない模様。しかし心の底からお互いを信頼している。
ロリショタキャラ「埴之塚光邦」、通称“ハニー先輩”。小学生のような風貌で常にウサギのぬいぐるみを手放さず、甘い物が大好き。反面、武術に長けており、裏の顔“鬼畜モード”の存在を匂わせる場面もある。
ホスト部一の巨漢「銛之塚崇」、通称“モリ先輩”。無口なストイックキャラであり、いかなる時もハニーを見守っている。動物に好かれる優しい面も。彼のファンは本気度が高いともっぱらの評判だ。
こんな素敵な6人に囲まれて日々をすごす羨ましいことこの上ないヒロインが「藤岡ハルヒ」。しかしハルヒはそんじょそこらのヒロインではない。テンション激低、やる気なし、何事にも無頓着な様は環をはじめホスト部の面々ががっかりするほど。そんな彼女をハーレムの中心に据えたところで少女漫画特有のキラキララブストーリーが展開されるはずもなく、コメディタッチでストーリーは進んでいく。
この作品は、作者が本当に楽しんで描いているのが伝わってくる。あまりにもベタな男子たちの設定にしても作者は十分に自覚しており、読者につっこまれることを前提としているように見えるほどだ。腐女子「宝積寺れんげ」の存在がいい例で、彼女はホスト部の面々を「うき・ドキ☆メモリアル」という架空のゲームの登場人物に見立て、さらにベタにキャラ付けしようとする。つっこみ上等、そしてその斜め上をいく自虐ギャグ。少女漫画だというのに、えらく男前な作り方だ。
それでいてファンサービスに満ちているのもこの作品の特徴。読者のリクエストに応えたコスプレを取り入れたり、要望のあったシーンをおまけ漫画で描いたりしている。特に毎回お約束で入る華麗な衣装は一見の価値ありだ。
マイペースなヒロインにふり回される、見目麗しいハイテンションなホストたち。シリアスな場面もなくはないが全体的におバカテイストに満ちた作品である。現在はコミックス14巻まで発行されており完結してはいないが、梅雨時の今こそ大人買いをおすすめしたい。読むだけで心が晴れること間違いなしだ。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)