writer : techinsight

3分でわかる「ジョジョの奇妙な冒険」 戦闘潮流編

 「ジョジョの奇妙な冒険」すべての始まりといえる「ジョナサン・ジョースター」と「ディオ・ブランドー」の戦い。一応の決着を見た「ファントムブラッド」編から50年後のアメリカが「戦闘潮流」編の始まりの舞台となっている。主人公はジョナサンと「エリナ・ペンドルトン」の孫にあたる「ジョセフ・ジョースター」だ。

 高潔な紳士という言葉がふさわしかったジョナサンとは違い、ジョセフは一見軽薄で今時の若者。しかし大切な人を守るためには何事をもいとわない熱さと、“波紋”の力が生まれつき備わっていた。そんなジョセフ(以後ジョジョ)の元に、祖父ジョナサンの盟友「ロバート・E・O・スピードワゴン」の訃報が届くことから物語は始まる。

 メキシコでスピードワゴンは50年前の戦いでディオが使った“石仮面”と同様の物と、石柱と一体化しながらも生きながらえている“柱の男”を発見。ともに戦った波紋の使い手「ウィル・A・ツェペリ」の同志であった「ストレイツォ」にその事実を報告するも、ディオとその力に密かに焦がれていたストレイツォはスピードワゴンを手にかけ、仮面の力で吸血鬼となる。その後ストレイツォはジョジョの前に姿を現し、戦いの末に自らの波紋で死亡。ジョジョは石仮面と柱の男の謎に迫るためメキシコへ向かう。

 メキシコではナチスドイツが傷ついたスピードワゴンを保護、監禁し、石仮面と柱の男の研究に着手していた。ジョジョが研究所にたどり着いたのはおりしも柱の男「サンタナ」が覚醒した瞬間。その危険性を感じ取ったジョジョはサンタナを倒すも、その後柱の男が他に3体いることを知らされる。

 ジョジョはローマに飛び、ウィル・A・ツェペリの孫「シーザー・アントニオ・ツェペリ」とその師匠「リサリサ」らと出会い、波紋の技を磨いていく。柱の男たちの目的がリサリサの持つ“エイジャの赤石”と知らされたジョジョとシーザーは修行することで力をつけ、友情を深めていった。来るべき決戦に備えて……。

 第1部の世界観を元にしていながら、まったく違う特色を現した第2部。第1部ではジョジョとディオの直接対決、正義と悪の一騎打ちという明確なモチーフが常に中心にあった。それは均衡した実力を持ちながらも目的を違える者の二人の正々堂々たる決闘だ。しかし第2部では圧倒的な力を持つ柱の男たちに対し、ジョジョは修行で立ち向かう。時に埋めがたいほどの力の差を感じながらも仲間の支え、師匠の教えにより敵を倒していくのだ。それでいて友情・努力・勝利一辺倒にならないのは、戦いにおいてイカサマやブラフを駆使するジョジョのキャラクター性によるものであろう。秀逸なバランスをもってして、この作品はただのバトル漫画とは一線を画しているのだ。

 作者である荒木飛呂彦氏いわく、この作品のシリーズを通してのテーマは“人間賛歌”。それゆえにであろうか、人ならざるものを敵に据えた第2部は、作品特有のテイストといった意味では控えめな印象だ。そんな中注目したいのがナチスドイツの「ルドル・フォン・シュトロハイム」。彼が登場するシーンのすべてが、小さくも濃密なジョジョワールドを築き上げている。名台詞らしい名台詞がない第2部において、彼の『ナチスは世界一ィィィ!』シリーズは貴重なものだ。

 次はいよいよ第3部「スターダストクルセイダース」。改訂版も気になるが、とりあえずはオリジナルを読み返すことにしよう。

(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)